苦悩 〜2〜 ページ16
「お前らがマジメにやらねぇからだろっ…」
「あんっ？今何つったぁっ？ああっ？」
「やめろキーズっ。フロイドもキーズを煽るような言葉は謹しめっ。先輩だろ…」
「オレは先輩とか、歳上とか、そーゆーモンには興味ねぇーの。オレより強いか弱いか。ただそれだけ。分かりやすいでしょ？」
「お前が来る前は俺がトップ選手だったんだぞっ！」
「自分で認めてんじゃん。オレが来る前まではって事でしょ？今は違うって、ちゃんと認めてんじゃん」
「テメェっ！」
言葉遣いが汚い方の選手キーズがフロイドに詰め寄る。
「やめろって！フロイドに怪我でもさせたらお前が解雇されるんだぞっ」
「ニコルだってさぁ。なんでこんな弱いヤツにいつまでも引っ付いてんの？自分だけで練習しりゃ、キーズより上に行けるぜ？」
「俺は…、真面目にやってるつもりだよ。別にキーズに引っ付いてるとかじゃなくて…」
「ふーん。どーでもいーけど。もうインターバル終わるからどっか行ってくんない？目障り」
「クソっ！お前だけ特別扱いかよっ」
「だからさぁ〜。悔しいなら実力でかかってこいよ。口だけギャーギャー言われてもうるせぇだけだから。早く消えろっ」
フロイドは立ち上がり、キーズとニコルの前を通り過ぎて行った。
「ニコルっ。今回の大会、俺たちも成績残してやるぞっ」
「あぁ…。そうだね…。フロイドに勝てる奴なんて、今は誰もいないだろうけど…」
「いつかアイツに吠え面がかせてやるっ」
練習を始めたフロイドをキーズは睨みつけた。
「チーム内でこんないざこざ…、やめようよ…」
ニコルはため息をついた。
三連覇がかかっている大会とあり、期待に応えられる様、フロイドもいつも以上に気合いを入れて練習を続けた。
監督やトレーナーも前回の選手の分析を念入りにし、対策を考える。
「やはり追う方より追われる方がプレッシャーの重さが段違いですよねぇ」
「だからこそ、我々がフロイドの技術面はもちろん、メンタル面をしっかりサポートしてるんじゃないか」
「お陰で他の選手はそっちのけ…。ですね〜」
トレーナーが苦笑いした。
「そうじゃない。ただ、俺の注文通りの練習に付いてこれないだけだ。俺はどの選手も平等に接している。だが、これだけ実力の差が生まれてしまうと、平等に出来ない事も出て来る」
「監督自身が認めちゃってるじゃないですか〜…」
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作者名：魅樹 | 作成日時：2023年6月15日 10時
