施設完成 〜7〜 ページ14
「おお〜っ!」
周囲の人たちから驚きの声が響く。
「タイムは?…つってもこれがどのくらい速いのか分かんねぇよなぁ…」
しかしこの後、フロイドの記録を抜ける人は誰もいなかった。
「フロイドさんの凄さ…、この身でしっかり感じ取らせてもらいましたっ!とても嬉しいですっ」
「すげぇ負けてんのに喜んでんのぉ?」
「ジャンプにまだ無駄が多すぎるなぁ…」
2人の元に監督がやって来た。
「だが、それはまだなんとでも直せる。しなやかなその筋肉を使いこなせれば、タイムももっと伸びるだろう」
「ありがとうございますっ!」
「あははっ。監督、サムのこと気に入ったのぉ?」
「まだまだ直す所だらけだがな。しかしめちゃくちゃと言う訳ではないし、生まれ持った身体能力が、まだ発揮しきれていないと見える」
「じゃ、テスト、やってあげたら?」
「……そうだな。うちのテストは他のチームより遥かに基準が高い。それでも受けてみるか?」
「はいっ!是非やらせてくださいっ」
「良いだろう。メグ。サム君と日程の調整を」
「分かりました」
監督に指示されたメグはすぐに動き出した。
「サム、受かると良いね〜!そしたらぁ、オレと練習出来る日がくるかもよぉ」
フロイドがサムの肩を軽く叩いて建物の中に入って行く。
「はいっ!きっと、合格してみせますっ。ありがとうございましたっ」
後ろ姿のフロイドにサムは深々と頭を下げた。
それから1ヶ月程経った。
ある日の朝。
Aはいつものように大きな交差点で人混みに紛れ信号を待つ。
ふと近くの大きな建物を見る。
〜あれから一年か…。昨日まで無かった広告…〜
大きな建物の大きな広告板に、例のスポーツ用品メーカーの広告が貼り出されていた。
カシャッ…カシャッ…
信号待ちの間にその広告を若い女性がスマホで写真を撮っていた。
〜去年も同じ光景見たな…〜
広告にはフロイドが大きくジャンプしてこちらに向かって来る躍動感あり過ぎの全身が写っている。
フリースタイルも始めた事もあり、ジャンプ姿は後ろに反り返り気味だった。
更にウエスト部分が完全に見えている。
そこからは鍛え上げられた腹筋がチラッと見えた。
──自分らしさを 見せつけろ──
それっぽい文字が格好良く載っている。
今回はウェアとシューズ、どちらもフロイドモデルを発表した。
「あの腹筋…触りた〜い」
「私今年はウェアもシューズも絶対買うーっ」
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作者名:魅樹 | 作成日時:2023年6月15日 10時