施設完成 〜5〜 ページ12
「サムの歳くらいの時ね。学園にいた頃さぁ、毎日筋トレしてたけどぉ、ぜ〜んぶ自分で調べてぇ、筋肉ついてくのが面白くてさぁ。オレ、人魚じゃん。二本の脚に筋肉ついてくのとか、マジでやべぇっ！って感じだったよぉ〜」
「なんか、貴重なお話しが聞けて…感動してますっ…」
「別に感動するとこじゃねぇしぃ〜。じゃ、軽く流してくよぉ〜。オレについておいでぇ」
「はいっ」
フロイドはレースコース前にあるたくさんの障害物がある練習コースの中へ入って行った。
一般の利用者もいる。
その人たちはフロイドが目の前で練習している姿を見て感動していた。
自分の練習を止め、ひたすらフロイドの動きを見ている人もいた。
「フロイド君、サム君の事気に入ってるんですかね」
「さぁね。でも、自分の後の子を育てたいって言うのは良く言っているわよ。だからこの施設も作ったんだし」
「監督もサム君の事を？」
「ええ。フロイドがサム君の動きを見るよう頼んでたわね」
Aはメグと一緒に練習コースを走るフロイドを見ていた。
「それにしても、一般の人に紛れて練習してるつもりなんだろうけど、思いっきり目立ってますよね…」
「みんなフロイドに釘付けになるのも仕方ないわね。負け知らずの人気トップアスリートが目の前で同じコースを走っているんだから。滅多に出会せないチャンスでしょうね」
一通り走り終え、インターバルを取る。
「じゃ、次はサム先頭ねぇ。好きなコース取りしていーよ〜」
「えっ？僕が先頭？」
「うん。いつも通りやんなよ。別に試験とかじゃねぇし」
「緊張しますっ…。フロイドさんに僕のコース取りや…、動きが丸見えになるって事ですから…」
「その為に今日呼んだんだよぉ。試験じゃねぇけど、サムの才能が目に留まれば、オレみたいにちゃんと練習出来る環境に入れるんだよ？」
「はい…」
「言っとくけどぉ、オレ、声掛けたのサムしかいねぇんだよ」
「そうなんですか？」
「うん」
「それは光栄です…」
「アズールみたいなことゆーなよ…。じゃ、始めよ」
「はいっ。よろしくお願いしますっ」
「スピードも任せるからぁ〜」
サムを先頭に、フロイドがまた練習コースに入った。
「メグさんから見てサム君はどうですか？」
「私はパルクールのプロじゃないから才能云々は分からないわ。でも、あの子の誠実な態度はフロイドと真逆で新鮮ね」
「うふふ……。確かに…」
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作者名：魅樹 | 作成日時：2023年6月15日 10時
