施設完成 〜4〜 ページ11
フロイドの強い意向があり、セレモニーはさっさと終わらされる。
必要最低限の挨拶、説明、プレスへの撮影時間。
「終るの…早い…」
「ええ。アイツがセレモニーなんかやらなくて良いから早く練習やらせろってうるさくて。仕方なく社長もアーシェングロットさんも折れてくれたのよ」
「自分でこの施設を作りたいって言ってたくせに…、最後はそんな事言って協賛者を無下にするなんて…」
「まぁ、メディアがこぞって紹介するでしょうから、今ここにいる利用者の人たちにとっても、早くセレモニーは切り上げて上げた方が良いっちゃ良いわね」
「メグ〜」
さっさとセレモニーを終わらせたフロイドがメグの元へやって来た。
「ええ。もう待機してもらってるわよ」
「サンキュー。で、どこ？」
「ほら。そこにいるじゃない」
メグが顎で示した。
「デカっ！サム？」
「はい…。今日はお招き頂き…ありがとうございます」
「背も伸びたけど、すげぇ筋肉つけたねぇ。気付かなかったよぉ」
以前、薔薇の王国でフロイドが声を掛けた青年サムがコースの側に立っていた。
背も更に伸び、顔立ちも幼さが一気に抜け、体格も一回り大きくなっていた。
「ありがとうございます…。今日の日を楽しみに、身体も鍛えて練習も更に増やしていたら…、こんなになっちゃいまして…」
「そーなんだぁ。いつもの練習場にいた？」
「はい。リーチさんを遠くからいつも見てました」
「ごめぇん…。前までは気付いてたけど、最近は気付かなかったよぉ」
「いえ…。リーチさんフリースタイルも始めてましたし、間もなくある大会の調整も大変そうですし…。そんな中、僕を気にかけてくれてありがとうございます」
「ふふ。なんて素晴らしい青年なんでしょうねぇ」
側にいたアズールがサムを気に入ったようだ。
「約束通りレースしてあげるよ。でもその前にさ、体温めよっ」
「はいっ」
「メグ〜。監督は〜？」
「もうすぐ到着するわ」
「分かった〜。オレ、サムとちょっと体温めてくるわ〜」
「よろしくお願いしますっ！リーチさんっ」
「フロイドでいーよ〜」
「あ、はいっ。フロイドさんっ」
「じゃ、柔軟したら軽く流すよ〜」
2人はお互いの体を引っ張ったり押したり、柔軟を始めた。
「へぇ〜。良い筋肉してるじゃーん」
フロイドがサムの背中を押しながら笑う。
「ありがとうございます」
「自己流？」
「はい…」
「ふーん」
「………」
「オレも〜っ」
「そうなんですかっ？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：魅樹 | 作成日時：2023年6月15日 10時
