心の変化 〜3〜 ページ6
間もなくしてジェイドがやって来た。
「クルーウェル先生。フロイドへの対応、ありがとうございました」
「それは構わない。ジェイド。フロイドが寮に戻るのに付き添ってやれ」
「はい」
フロイドはゆっくり起き上がった。
「大丈夫ですか？」
「うん」
ベッドから降り、白杖を探す。
「白杖は僕が持っています。さ。僕の腕に掴まってください」
「一人で歩くよ」
「いけません。頭痛の後は大抵めまいを起こすでしょう？」
「………」
フロイドは黙ってジェイドの腕を探して掴まった。
グラッ…
フロイドがよろけた。
ジェイドは構えていたのですぐに支える。
「言わんこっちゃない…」
「うるせぇなぁ…」
「フロイド先輩っ。クルーウェル先生とジェイド先輩は心配してるんですよ」
「うるせぇっつってんだろっ！黙ってろっ！」
「っ！」
突然フロイドがAに怒鳴った。
「フロイド先輩…」
こんな事初めてだった。
「すみません…。出しゃばりすぎました…」
「Aさんが謝る事ではありませんよ。いつもの気分屋が始まっただけですから、気にしないでくださいね」
「はぁ？みんなしてオレを弱い者扱いしてんのかよっ」
「事実でしょう？」
「やめろ。2人共。フロイド。お前は目が見えないハンデを持ったんだ。その自覚をきちんと持て」
「うるせぇんだよっ」
「ジェイド。こんな弟を持って大変だろうが、俺たちも出来る限りの事はしてやるつもりだ」
「余計な事言ってんじゃねぇっ」
「クルーウェル先生、ありがとうございます。フロイド。行きますよ」
Aは何も言わずフロイドを見ていた。
〜こんな生活…、もう…、私も嫌だ…〜
それから寮に戻っても、Aはフロイドの部屋には行かなかった。
行く気持ちになれなかった。
今日は仕事もある。
〜仕事、行きたくないな…〜
重い腰を上げ、寮服に着替える。
コンコンコン…
「はい」
「ジェイドです。お支度、終わりましたか？」
「はい。今行きます」
Aはジェイドとモストロ・ラウンジへ向かった。
2人共フロイドの事については何も話さなかった。
何とか仕事をこなし、ジェイドに送られて部屋に戻った。
部屋に入りドアを閉め、鍵もしっかりかける。
「はぁ…」
シャワーも浴びずにすぐに寝たい。
精神的に一気に疲れが来た。
「お帰りぃ〜」
「フロイド先輩っ…」
「そろそろ帰ってくるかと思ってさ。カフェオレ、淹れたよ〜」
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作者名：魅樹 | 作成日時：2023年6月6日 21時
