有名人の振る舞い 〜11〜 ページ50
クリスにまた家に連れて来てもらった。
「じゃ、ボクは美味しい紅茶とクッキー食べたしぃ、帰るねー」
クリスは風のように消えた。
「はぁー。疲れたぁ〜」
「だから言ったのに…」
「いーの〜。Aだってぇ、みんなとお茶出来て楽しかったでしょ?明日は一日オフだしぃ、この後ゆっくりすればいーじゃ〜ん」
「私は明日仕事なのに…」
「あ、メグから聞いてない?明日A仕事休みだよ」
「は?」
「メグがAの上司に交渉してぇ、急遽有休取らせてくれたんだってさぁ」
「勝手に…」
「イヤ?」
「嫌な訳…ないでしょ…」
「うん。明日出勤したって、仕事になんねぇだろ?」
「そうだね…」
「しばらくはAも会社で色々言われるかも知んないけど、我慢してくれる?」
「うん。私はパルクール世界大会で優勝した、フロイド・リーチの奥さんになるんだもん。このくらい大丈夫だよっ」
「ありがと…。愛してるよ、A…」
フロイドが優しくキスをしてきた。
Aは目を閉じて応えていく。
「私も言いたい…。フロイド君、愛してる…」
翌朝。
ベッドの中でAは眠っているフロイドに抱きついた。
「……寒いの…?」
「起こしちゃった?」
「大丈夫…。裸で抱き合ってれば…温かいだろ…?」
「うん…。温かいよ…。ただ…、こうしたかっただけ…」
「うん」
フロイドも目を閉じたままAを抱きしめた。
「いい匂い…」
「うん…」
昨日の騒動が気になった。
「フロイド君…、テレビ、観ても良い?」
「いーけど、どーせくだらねぇことしかやってねぇだろ?」
「それでも…、気になっちゃって…」
「ん…」
フロイドはテレビのリモコンを手探りで探し、寝室にある大きなテレビのスイッチを入れた。
「ありがとう。音、小さくしておくね」
『いやぁ…。人魚がここまで陸の競技で功績を残すとは、素晴らしいの一言ですねぇ』
朝のニュースはやはりフロイドの事を取り上げていた。
『しかも目の病気をして一度は両目を失った訳でしょう?お兄さんの弟への思いのお陰でまた目が見えるようになって…。なんて素晴らしい兄弟なんでしょうね』
『そこでなんですが、今日はそんな弟思いのリーチ選手のお兄さん、ジェイド・リーチさんと中継が繋がっているんですっ』
「ジェイド先輩…。こんな朝早くから…」
「ジェイド…、バカじゃねぇーの…?」
テレビから聞こえてくる音を聞き、ベッドの中でフロイドが呟いた。
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作者名:魅樹 | 作成日時:2023年6月6日 21時