有名人の振る舞い 〜10〜 ページ49
その後、久しぶりに集まったメンバーでお茶を楽しみ、フロイドのパルクールの大会の話しで盛り上がった。
「やっぱさぁ、空間認識魔法、すげぇ役に立つよねぇ〜」
「パルクールは運動神経の良さも当然ですが、空間認識能力も必要だと聞きます。フロイドにとって、持って来いの競技だと言うことですね」
「目が見えなくなってなければ、こんな魔法、習得しようなんて思いもしなかったよ」
「魔法、使ってるの?」
「試合中は使わねぇよ。練習中に使ってぇ、本当の空間認識能力を身につけるんだよ。スポーツに魔法は使えないからねぇ〜」
「そっか…。良かった…」
「フロイドはそんなセコい事しませんよ。安心してください」
「はい」
楽しい時間はあっという間に過ぎて行った。
「さて。我々もそろそろ仕事に戻らなくては。フロイド・リーチ選手の双子の兄と幼馴染がいる店と言うだけで、予約が殺到していますから」
「ほらぁ。オレのお陰で儲かってんじゃーん」
「今ならリーチ選手本人に会える…。使えそうですねぇ…」
「ふざけんなよ〜…。そんなサービスやんねぇからなぁ」
「ふふ。それは残念」
「どーせオレは時の人だよ。しばらくすればオレの事なんてみんな忘れちゃうからさぁ〜」
「ふふふ。それはどうでしょうねぇ…」
「アズール先輩、ジェイド先輩。お店にはもう少し落ち着いた頃に食べに来ますね」
「ええ。お待ちしていますよ。そうだ…」
アズールが机に行き、引き出しを開けた。
そして一冊のパンフレットをAに渡した。
「もしまだ式場が決まっていないのでしたら、ぜひご検討を」
「……チャペル…?」
「ええ。半年後にモストロ・ラウンジの結婚式場をオープンします。一日一組の限定です。チャペルで挙式後、併設するレストランで披露宴や食事会などが出来ますよ。もちろん、こだわり抜いた食材を使ったメニューをご用意いたします」
「へぇ〜」
フロイドもパンフレットを覗き込む。
「安くしてくれんの?」
「トップアスリートが値引き交渉ですか?」
「アズールのお得意だろ?」
「まぁ…、トップアスリートが挙式したチャペルとなれば、付加価値も相当上がりますからねぇ…。良いでしょう。本当に利用してくださるなら、交渉いたしましょう」
「うん。考えとく」
「良いお返事、お待ちしておりますよ」
「結婚式…」
Aはまだ実感が湧かなかった。
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作者名:魅樹 | 作成日時:2023年6月6日 21時