有名人の振る舞い 〜7〜 ページ46
「アイツらはマンションの中までは入れない。車を降りてからエントランスまでのあの短い距離を狙って囲まれるぞ」
「フロイド君っ…」
「メグ〜。アイツら、巻いてやろーよぉ〜」
フロイドがニッと笑った。
「巻く？今更どうやって？……フロイド。アンタ、クリスを使うつもり？」
「やっほー！呼んだぁ？あ、Aーっ。元気ー？」
車内にクリスが風のように現れた。
「お久しぶりです、クリス！」
「なんだぁー。メグもいるのぉ？」
クリスが嫌そうな顔をする。
「神様のくせに人を選り好みするなっ！」
「ほらぁー…。やっぱメグ怖いよぉー…」
「うるさいっ！さっさと２人を部屋に連れて行けっ」
「だってさぁ、クリス〜。メグの言う通りにしないとぉ、また一晩中飲み相手にされちゃうよ〜？」
「なんか最近ボクを雑に扱ってなぁい？」
「クリスっ、お願いしますっ。詳しいことは部屋に行ったらフロイド君が教えてくれるからっ…」
「Aだけは変わらないもんねぇー。いーよぉー。Aのために連れて行ってあげるーっ」
クリスとフロイドとAは車内から風のように消えた。
「このままマンションを通過して。私達は事務所に戻るわよ」
「分かりましたっ」
報道陣はフロイドが乗っているはずの車がマンションを通過して行ってしまい、混乱し始めた。
「うふふっ。ざまあ無いわっ」
混乱する報道陣をカーテンの隙間から眺め、メグは嘲笑った。
「クリス。ありがとうございましたっ」
「どーいたしましてぇ。って言うかさぁ。引っ越したのぉ？」
「うん。オレ、すげぇ金持ってるからぁ」
「本当ー、大きい部屋だねぇー！あ、あとぉ、2人、ついに結婚するんだよねぇー！おめでとうっ！ボク、嬉しすぎて涙が出ちゃうよぉー！」
「うふふ。ありがとう、クリス。私も、凄く嬉しいし、凄く幸せです」
「うんうんっ！フロイドもぉ、やっと決めたんだねぇー。偉いぞぉーっ」
「お前に言われたくねぇっ…って言いたいとこだけどさ。正直、ここまで来れたのはクリスがいてくれたお陰だってマジで感謝してる」
「…フロイド…」
「なっ…、何だよっ」
「フロイドからそんな言葉が聞けるなんて…、本当に嬉しいよぉーっ！」
「うわっ！気持ちわりぃなっ。抱きつくんじゃねぇっ！」
クリスがフロイドに抱きつきスリスリする。
「フロイド君、クリスに素直に感謝出来るなんて、偉いねっ」
「Aまで何だよぉ〜…」
フロイドはやれやれとため息をついた。
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作者名：魅樹 | 作成日時：2023年6月6日 21時
