心の変化 〜2〜 ページ5
「みんな、フロイド先輩を手伝いたいって思ってるだけです。誰も上から目線なんて思ってる人いませんよ」
「手伝ってもらわなきゃ、オレは生活出来ねぇ身体になっちゃったんだよ…」
「仕方ないですよ…。目が見てえたって、人は助け合うでしょ？」
「オレは助けてもらう一方的な受け身でしかないんだよ…。実際、Aを守れなかっただろ…」
「仕方…ないじゃないですか…」
「ほら。仕方ないで終わるだろ…。もう、それがイヤなの。仕方ないで終わらせたくないんだよ…」
「それなら…、また目が見えるようになるしか…」
「Aも、そう思う？オレが目が見えるようになった方が良いって、思う？」
「私は初めからずっとそう思ってたし、今も変わりませんよ。……Aもって…、ジェイド先輩にも聞いたの？」
「前に少しだけ。そんな話、しただけ…」
「ジェイド先輩も私と同じ思いでしょ？」
「……うん…」
「考えてくれる？移植の事」
「……そーだね…」
「可能性がまだ残っているうちに、やってもらいたいです…」
「このまま抱いていい？」
「殴りますよ」
「本当にゆーねぇ〜」
「そりゃ、言いますよっ」
Aがフロイドに優しくキスをした。
「これで我慢してください」
「我慢出来なーい」
「クルーウェル先生呼びますよ？」
「オレはいーよ〜」
「ジェイド先輩も呼びますよっ」
「ジェイドは今更だから気にしねぇだろ」
「はぁ…」
Aは起き上がった。
フロイドも押さえつけたりせず、Aから手を離した。
「本当に報告してこなくちゃ。待っててくださいね」
「はいはい…」
赤い糸が少しずつ離れていく。
「ふっ……」
フロイドは何故か笑った。
〜何やってんだろ。オレ…〜
そしてため息をついた。
しばらくすると、クルーウェルとAがやって来た。
「具合はどうだ？まだ頭痛は残っているか？」
「大丈夫〜」
「俺の授業中で良かったな。すぐに対応してやれたんだぞ」
「………うん…」
「大体2、3週間に一度のペースで頭痛に襲われているな」
「そんな感じだね…」
「めまいはどうだ？」
「たぶん、大丈夫」
「薬、きちんと飲んでいるんだろ？」
「私が管理しています」
「そうか。それなら大丈夫だな。起き上がって問題なければ寮へ戻って良いぞ。だが、兄が来るまでは待て」
「何でだよ」
「めまいでも起こしたらどうする。Aだけではお前を支えられないぞ」
「……分かったよ…」
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作者名：魅樹 | 作成日時：2023年6月6日 21時
