見える生活 〜3〜 ページ23
2人でゆっくり朝のティータイムを過ごしていると、フロイドがふと立ち上がった。
そして机に向かって行く。
「あの超巨大ウツボのぬいぐるみ、こんなにちっちゃくなっちゃったの？」
机の隅に置かれた手のひらに乗ってしまう程小さくなったぬいぐるみをフロイドが手に取った。
「オンボロ寮…閉鎖されちゃったし、大きいままじゃダメだってアズール先輩が小さくしてくれたんです…」
「ふーん…。強制的にこっちにこさせられちゃったからね〜…」
「そのぬいぐるみも、窮屈でしょうね」
「まぁね。ここじゃ、大きくしてやれねぇもんな」
「はい…」
「じゃぁさ、いつか、このぬいぐるみが大きく出来るくらいのデカイ部屋に住めるようにしようよ」
「そうですねっ」
「それまでちっちゃいままだけどぉ、我慢してね、ウツボちゃん」
フロイドは小さくなったぬいぐるみを覗き込んで声を掛けた。
「せっかくフロイド先輩が賭けに勝って貰えたウツボちゃんですからね。私も早く大きいウツボちゃんと過ごしたいです」
「そーだね〜」
フロイドがウツボちゃんを机に戻し、そのままベッドへ行った。
「ベッドもさ、デカイの置ける部屋にしてぇ…」
フロイドは更に寝転がる。
「将来住みたい家ですか？」
「うん。オレもデカイしぃ、毎日Aと一緒に寝るからぁ、やっぱキングサイズのベッドがいーよねぇ〜」
「キングサイズ…。夢ですね」
「夢じゃなくて実現させるよぉ〜っ」
「はいっ。楽しみに頑張りましょうっ！」
Aも立ち上がり、フロイドの寝転がるベッドへ飛び込んだ。
「これからもずっと一緒だよ」
「はいっ。ずっと…ずっとフロイド先輩と一緒…。離れませんっ…」
「離さないから大丈夫〜」
朝からまた熱い時間が始まった。
フロイドが退院してから半月程が過ぎた。
バスケットやパルクールも自在に出来る。
モストロ・ラウンジにも復帰した。
夜になれば、しょっちゅうクリスにAの部屋に連れて行ってもらい、一緒に過ごす。
休日はデートをたくさんして、おしゃれな洋服や靴も買う。
寮のキッチンを使って料理もたくさん作った。
そんな充実した日が毎日のように続いた。
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作者名：魅樹 | 作成日時：2023年6月6日 21時
