新しい目 〜8〜 ページ17
「何とか方法探して守るしか…」
「また強がりですか。もう、いい加減やめてくださいよっ。なぜ、素直に受け入れてくれないのですか？フロイドが一番良く分かっているはずですよ。目が見えない状態では、Aさんを守るどころか、自分の事でさえ、きちんと出来ないって」
「………」
フロイドが額を左手で覆った。
「フロイドがAさんをこの世界に留まらせるために、周りに相談すること無く、クリスと契約したでしょう？それに比べたら、僕がフロイドに眼球をあげたことなんて、大した事ないじゃないですか」
沈黙が走る。
そしてフロイドがため息をついた。
「………そう…かもね…。オレも…、一人で勝手に…、契約したもんな…」
「少しは分かって貰えました？フロイドが僕に怒るの同じくらい…、いえ、それ以上に、勝手にクリスと契約をしたフロイドに、僕だって怒りましたよ…。おあいこでしょう…」
「ふっ…。おあいこねぇ…」
「フロイドさん。せっかくジェイドさんの目があなたに定着してきたのですから、これから一生、大切に使ってあげてください」
「……しょうがねぇなぁ…。大事に…使ってやるよ…」
「上から目線なのがムカつきますが、良いでしょう。僕の目、ありがたく大切に使ってくださいね」
「ジェイドだって上から目線だろ…」
「当たり前です」
「はいはい…」
それから１週間。
フロイドが退院する日。
学園も休日で、Aはアズールの部屋に来ていた。
「アズール先輩っ…、この服、変じゃない？」
「僕に聞かれても…、何と答えたら良いのか…」
「変って事…ですか…？」
「そうではありませんよ。僕から見て、とても魅力的な服装だと思いますよ。ですが、Aさんはフロイド基準で変でないか聞いているのでしょう？」
「えっ、そ…そんな事ないですっ。アズール先輩が褒めてくれるなら、変じゃないって事ですからっ…」
「ふふ。どんな服で着飾ろうと、Aさんの内面の魅力がブレることは無いと思いますが？」
「あ…りがとう…ございますっ…」
「とは言いながら、フロイドはファッションにこだわる面もありますからねぇ…」
アズールがニヤニヤしながらAを見た。
「ふふ。大丈夫です。どんな服でも、フロイドは喜びますよ」
「はいっ…」
「噂をすれば、ジェイドから電話です」
アズールが電話に出る。
「はい。……分かりました。僕の部屋でお待ちしています」
手短に電話を切った。
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作者名：魅樹 | 作成日時：2023年6月6日 21時
