新しい目 〜3〜 ページ12
「また明日、フロイドの様子を連絡しますね。Aさんも待ちくたびれたでしょう？今日はゆっくり休んでくださいね」
「ジェイド先輩こそ、お疲れ様でした…。手術終るの、ずっと一人で待ってたんでしょ？」
「ふふふ。まぁ、そうですね。僕は大丈夫ですよ」
「ジェイド先輩こそ、ゆっくり休んでください」
「ありがとうございます。アズール、まだしばらく、Aさんの事、よろしくお願いしますね」
「心配ご無用ですよ」
「ふふふ。では、また明日」
翌朝。
「リーチさーん。おはようございますー」
「ん…」
「検温の時間ですよー」
「頭…痛ぇ…」
「まだ痛みます？吐き気は？」
「大丈夫…」
「頭痛だけですね？……熱は…、38℃…。まぁ、術後はこんなもんですねー。脈も測りますよー」
看護師にされるがまま、フロイドはベッドに寝ていた。
「今何時…」
「朝の6時半です」
「外…、明るいの？」
「はい」
「そっか…」
フロイドは頭痛の中、また眠ってしまった。
誰かの話し声が聞こえる。
頭痛は朝より少し楽になった気がする。
「誰かいるの…？」
「フロイド。起きましたか」
「ジェイドか…」
「先生もいらっしゃいますよ」
「リーチさん。具合はどうです？」
「朝…、すげぇ頭痛かった…。今は…、少し楽…かな…」
「分かりました」
「今何時…」
「昼の11時です」
「天気、良いの？」
「ええ。とても日差しが強いですよ」
「そっか…」
「リーチさん。少し目の状態、診させてくださいね」
医師がフロイドの移植した右目のガーゼを外す。
「目、開けますよ」
医師が慣れた様子でフロイドのまぶたを開いた。
「何も…見えねぇよ…」
「まだ見えませんよ。でも…」
カチッ…
何かスイッチを入れる音が聞こえた。
「これはどうですか？」
「っ！」
フロイドの鼓動が一瞬早くなった。
「……白…」
「ええ。今ね、かなり強い光を移植した目に当てました。少しでも白く見えましたか？」
「……うん…」
「これは、良い兆候ですね」
「本当ですか、先生っ」
ジェイドの嬉しそうな声が聞こえた。
「ええ。光を既に感じ取れるのであれば、視力も回復する可能性が高いです。まぁ、時間はかかりますがね」
「オレ…、目、見えるようになるの？」
「この調子なら、期待出来ますよ」
「そっか…」
「良かったですね、フロイド」
「うん…」
医師がまたフロイドの右目にガーゼを当てた。
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作者名：魅樹 | 作成日時：2023年6月6日 21時
