見えない生活 〜7〜 ページ7
〜ホテルっ……〜
病室はまるでホテルの一室のような作りだった。
落ち着いた赤い絨毯、シャンデリア、重厚感たっぷりなカーテン。
ベッドも大きい。
そのベッドに目に包帯を巻かれた姿のフロイドが寝ていた。
この状態では起きているのか眠っているのか分からない。
衝撃的な姿だった。
しかしAはしっかりとフロイドの姿を見た。
「フロイド」
「あ…?」
左腕に点滴をされ、静かに横になっている。
「調子はどうですか?」
「頭痛ぇんだよっ…」
「きっと薬が効きますよ」
「分かったような事言ってんじゃねぇっ」
「そうですね」
「Aは?」
「ええ。元気にしていますよ」
「そっか…。オレの部屋、汚かった?」
「いいえ。いつもと何も変わらない状態でしたよ」
「嘘つくんじゃねぇよっ。オレが顔触った時、すっげぇ血が付いてたの知ってんだよ。それなのに部屋が何も変わらないなんて、あり得ねぇだろ」
〜やっぱり…〜
Aは胸が締め付けられながらも、ずっと黙って2人のやり取りを見ていた。
「大丈夫です。問題ありません」
「どーせジェイドとアズールで何かコソコソやってんだろ…。こんな病院に連れてきやがって…」
「病院に連れて行かなければ、フロイドは死んでいたかもしれませんよ?」
「それならそれでいーんだよ」
「良く無いでしょう。フロイドはAさんを守るのでしょう?フロイドが死んだら、Aさんを誰が守ってくれるのです?」
「……うるせぇなっ…。黙れよっ…。……Aはオレしか守ってやれねぇんだよ」
「そうでしょう?そんな簡単に死なれては困りますよ」
「黙れっつってんだろっ!」
その瞬間、フロイドの口元が歪んだ。
そして頭を抱える。
「あぁっ……!クソっ!真っ暗だし頭痛ぇしっ…!ふざけんじゃねぇーよっ!!」
「落ち着いて、フロイド」
「何も見えねぇだぜ?光も無い。真っ暗っ!頭痛いっ!」
フロイドが声を荒らげた。
「ジェイドっ。何しに来たんだよっ。用がないならとっとと帰れっ。オレはジェイドにAの事を頼んだはずだろっ」
そう言うと、フロイドが起き上がろうとした。
ゆっくりと頭を持ち上げていく。
更に足を床に降ろし、立ち上がろうとした。
「いけませんよ。安静にしていないと」
「あぁっ?ジェイドがこんなとこに来てる間に、Aに何かあったらどーすんだよっ」
フロイドがグッと立ち上がった。
しかし。
ドサッ…
貧血も酷いフロイドがそのまま床に崩れ落ちた。
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作者名:魅樹 | 作成日時:2023年6月2日 17時