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難しい生活 〜1〜 ページ28

「雨音…、聞こえますね…」

「うん。今日はずっと寮にいよーよ」

「そうですね…」

遠くで雷鳴も聞こえる。

「朝から雷…」

「うん。関係ねぇよ…」

「遠そうですしね」

「寒くない?服、着る?」

「いい匂いタイム終わったらで大丈夫です。フロイド先輩が温かいから」

「うん」

「昨日の夜…、凄く幸せでした」

「オレもだよ…」

「またフロイド先輩と、こうして過ごせるんですね」

「うん。目、見えなくなっちゃったけど」

「………そんな事、言わないでください」

「目が見えなくても、オレはAの側にずっといるよ…」

「私だって…、離れませんからね…」

いい匂いタイムは会話をしながら1時間以上続いた。




雨足が段々強くなる。

いい匂いタイムを終え、フロイドが床に落ちていた服を手探りで見つけ、着る。

「服、着れた?」

「はい」

「じゃ、キッチン行ってお茶作ろ〜」

「何が飲みたいですか?」

「今日は紅茶かなぁ〜」

「分かりました。私が淹れますね」

「うん。A、先にキッチン行っててくれる?」

「え?何かありますか?」

「赤い糸。まだ見えるの」

「まだ見えてるの?」

「もしかしたらずっと見えてるんじゃね?」

「そうなのかな…」

「だからさ、Aがどこにいるか、この赤い糸辿って見つけてみたいの」

「うふふ。かくれんぼみたいですね。分かりました。ここから一人で部屋出れますか?」

「うん」

「じゃぁ、先に行ってますね」

Aがベッドから降りて部屋のドアを開けた。

「んっ?」

「A、どした?」

「フロイド先輩…。もしかしたら…、雨漏りしてるかも…」

「はぁっ?雨漏りぃ〜?ふざけんなよぉ〜…」

Aが部屋に戻って来た。

「この部屋は…。……大丈夫…かな…。廊下が何ヶ所か雨漏りしてます…」

「ったく〜…。目が見えねぇのに天井の修理しろっつーのかよ…」

「さすがに危ないですよ。後でジェイド先輩に相談しましょう」

「はぁ…。しょーがねーよな…。あっ。魔法で直そうよ」

「良いんですか?」

「うん」

フロイドがベッドから降り、机の上に置いたマジカルペンを探して手に持つ。
そのまま家具やベッドを触りながらドアの方まで歩いて来た。

「どこ?」

「えっと…。私が連れて行くので、その真上に魔法掛けてくれますか?」

「おっけー」

Aはフロイドの手を引いて雨漏りしている場所に移動する。

「まずはここです」

「うえっ…。床ビショビショじゃん…」

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作者名:魅樹 | 作成日時:2023年6月2日 17時

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