目の見えない夜 〜3〜 ページ27
Aがフロイドの腕を触る。
「こんなにガッチリした腕だし…」
「いっぱい…惚れていーんだよ?」
「はい…。既に…フロイド沼に…ハマってますよ…」
「本当にゆーよーになったねぇ〜…。言えなくなる程、めちゃくちゃにしてやるよ…。ベッドの上で主導権持ってるの、オレだよ…」
「はい…。分かってます…」
「うん。良い子…」
「フロイド先輩…、大好きです…」
「うん。知ってる…」
フロイドは改めて両手を使ってAの全身を触っていく。
「Aの身体、見えるよ…。顔も…」
「はい…」
Aは目を閉じてフロイドの手の感触を感じ取った。
ふと、フロイドの手が止まった。
「A…。見える?赤い糸…」
「えっ?」
思わず目を開けた。
「いえ…」
「ほら。良く見てよ。オレとAの小指、赤い糸で繋がってるよ」
Aが手を見る。
「この前は2人で見えたのに…」
「オレしか見えてないの?」
「そうみたい…」
「そっか…」
フロイドはまたAの全身を触り始める。
そして、パッとAの左手の小指を握った。
「見えるんだよねぇ〜…。だからぁ、左手の小指だけは確実に掴めるよ」
「凄い…」
「オレの左手の小指にも、赤い糸付いてるじゃん。その結び目とAの小指の結び目を重ねるの」
「赤い糸しか見えてないの?」
「うん。それはしょーがねーよなぁ〜…」
「それでも、凄いし、嬉しいです…。私も見えたら良かったのに…」
「また2人で見える時が来るよ」
「そうですね」
フロイドはAのお腹にキスをした。
「いっぱい…気持ち良くしてあげるからね…」
「はい…」
2人の長くて甘い夜が始まった。
翌朝。
「A…」
ベッドの上でフロイドがAを起こす。
「……フロイド先輩…」
「おはよ」
「おはようございます…」
「今何時?」
「ん…、9時…。……9時っ?」
Aが驚いた声を出す。
「別にいーじゃん。今日も休みだしぃ、雨降ってんだろ?」
Aが顔をあげて窓の外を見た。
「本当だ…。雨、降ってますね…」
「雨音がすげぇ聞こえるもん」
「気付きませんでした…。寝起きだからかな…」
フロイドがAを抱きしめた。
「今からいい匂いタイムね〜。無制限だよぉ〜」
「無制限ですか?お腹空いちゃいますよ?」
「うん。いーの。いい匂いタイムの方が大事〜」
「分かりました」
Aはフロイドの頭を優しく撫でた。
そして目を閉じて耳を澄ます。
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作者名:魅樹 | 作成日時:2023年6月2日 17時