毒、弱体化 〜2〜 ページ48
「ほら。怖いんじゃん」
「怖いんじゃ、ありません。想像してみたんです」
「想像ねぇ…」
「誰だって、初めての時あるでしょ?それなら、私はフロイド先輩に全部教えてもらいたいんですっ」
「ねぇ…。お湯、沸いてるんだけど?」
「話し逸らさないでください!私は真剣に、本当に考えてるんですよ!」
「……分かったよ。オレが変な事言っちゃったからね…。ごめんね」
「キスはたくさんしてくれるのに、どうしてそれ以上の事はしてくれないんですか?」
「別にそーゆーワケじゃないよ…。焦るモンじゃないでしょ。こーゆーのって…」
「私は焦ってません!ただ、フロイド先輩が大好きだからっ…」
フロイドがAの頭をポンポン撫でた。
「うん。知ってるよ…」
「だったら…」
フロイドの身体が完全なうちに、いつかはAと身体を求め合いたい。
フロイドはそう考えていた。
しかし、Aはそれ以上にフロイドを求めてくる。
4ヶ月後に、毒の効果がどれだけ続くのかは誰にも分からない。
クリスも恐らくこれ以上、毒を長持ちさせてはくれないだろう。
「はぁ…」
フロイドがため息をつく。
「分かったよ…。ちゃんと、教えてあげるから…」
「いつですか?」
「そんな…、いつって決めるモンでもないでしょ…」
「今夜は?」
「今夜?」
「フロイド先輩が最初に選んでくれた黒いブラジャー、着けますからっ!」
「………顔、真っ赤じゃん…」
「良いんですっ!」
「そんなにオレとしたいの?初めてのくせに」
フロイドがAを抱きしめる。
「何でか分からないけど…、そう言う気持ちなんです…」
「………」
フロイドはAを抱きしめたまましばらく黙った。
Aも何も話さない。
「うん…。今夜ね…」
そう言うと、フロイドはAのおでこにキスをした。
「約束…ですよ?」
「うん」
Aが顔を真っ赤にしたまま微笑んだ。
「コーヒー、淹れよ」
「はいっ」
結局、コーヒーはフロイドが淹れた。
その後、夜までAはずっとご機嫌だった。
そして異常なほど甘えて来る。
フロイドはそれでも嫌な顔をせずに応えた。
抱っこをせがまれた時にフロイドがAの手の傷を確認した。
「A…。傷がちょっと薄くなっちゃってる…」
「えっ?だって、昨日熱心下がったばっかりで…、フロイド先輩の噛みついてくれた毒が効いてる最中じゃないんですか?」
フロイドをやたらと求めてくる理由はこれかもしれない。
毒が足りていない。
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作者名:魅樹 | 作成日時:2023年4月23日 16時