あの人物 〜4〜 ページ35
「特にキミは、今まで見てきた人間の中でも一番面白いかもー。あ、人魚だけどね。まずボクを見ても動じないでしょ、そして威勢が良い。契約の事も知ってるみたいだし、それに対して恐れる事もしない。中でもボクの一番のお気に入りは、キミの身体が綺麗って事かなー」
「契約を恐れないヤツは過去にもいたはずだろ」
「うん。いたよ。でもさぁ、なんかモノ足んないって言うか、淡々としてるって言うか…。面白味がないんだよねー」
「人が必死になってる姿に面白味を感じたいなんて、頭イカれてるだろっ…」
「そお？だってさぁ。いつも人間に神様!神様!って崇められて、ボクの姿見れば怖がられて、契約しようとしてもほとんど逃げられる。つまんないじゃん」
「テメェは何の神なんだ…？」
「ボクね、恋の神様らしいよ」
「らしい？」
「うん。人間がそう言って崇めてるだけで、ボク自身はそんな自覚ないからー。でもさ、異世界の人間をこの世界に留めさせられる毒をあげられるのがボクしかいないって言うところが、恋の神様っぽいよねー！ははっ」
「神様って…、もっと高貴で慈悲深い存在じゃないのか？」
「何それー。それは人間が勝手に思い込んでる想像に過ぎないじゃん。それに、ボクは慈悲深いでしょ？」
「どこがっ！」
「こうやって困ってるキミの前にちゃんと現れて、契約する約束もしてあげたんだよ？しかも、この子の毒も長持ちさせてあげたしー」
クリスがドヤ顔をする。
「契約は…、オレの身体のどこを代償にするんだ…」
「うーん…。まだ決めてないよ」
「早く決めろっ」
「何でー？決めちゃったら変えられないからイヤだよー…。ボクたち、嘘はつけないからさ。神様って、そうやって作られてるんだってー。面白いよねー」
「神様は嘘はつけないって事か？」
「うん。そうみたい。言ったことは実行しなくちゃいけない。だから、軽々しく約束も出来ないんだよねー」
「代償は…、テメェの趣味か？」
「ううん。違うよー。そう言う仕組みって言うのかな…？ボクが勝手に変えることは出来ないんだ」
「神様にもルールがあんのか…」
「なんかキミと話してると楽しくて、なかなかやめられないねー。何でだろう？」
「オレもテメェにはたくさん聞きたい事があるからちょうどいい…」
「でも、もう帰るねー。こう見えて、ボクも忙しいんだよねー」
「なら、とっとと帰れっ…」
「ボクともっと話ししたいんじゃないの？」
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作者名：魅樹 | 作成日時：2023年4月23日 16時
