あの人物 〜5〜 ページ36
「ある程度の事は分かったよ…。今はこれで充分だよ…」
「そお?また聞きたい事あったら、キミには教えてあげるね。秘密のところはダメだけど」
「肝心な事聞いてなかった。何で今ここに来た?」
「キミの大事な人に興味あったから。どんな子なのかなぁ?って思ってさー。ボクね、異世界の人間をこんなに間近で見たの初めてだし、触ったのも初めてなんだー。この子も本当に綺麗だよねー」
「Aに触ったらぶっ殺すぞっ」
「だからさぁ。ボクがいなくなったら困るのはキミなんだよ?威勢が良いのは好きだけどねー。それに、キミにはボクを殺せないよー」
クリスが立ち上がる。
「じゃ、ボクは本当に帰るねー」
「Aはどうするんだよっ」
「大丈夫ー。ボクがここからいなくなれば、勝手に目を覚ますから。あ。あと、これからもAには変な事しないから心配しないで。じゃ、後はよろしくねー」
ニッコリと笑ったクリスは、風のように消えた。
「これからもって…。キスしようとしてたじゃねぇかよ…」
フロイドは呟きながらAを抱き起こす。
「小エビちゃん…?」
Aの眉がピクッと動いた。
「小エビちゃん…」
フロイドが優しく頭をポンポン撫でる。
「……フロイド先輩…。…えっ…?私、寝てました?」
「うん」
「あれ…。談話室で一人で怖くなって…。シャワールームに来て…、その椅子に座ってフロイド先輩が出てくるの待ってたはずなんだけどな…」
「椅子から滑り落ちたんじゃね?」
「…でも…、全然眠く無かったんだけどな…」
「どこも痛いとこ、ない?」
「はい…」
Aがフロイドに抱きつく。
「また…、怖くなっちゃって…。フロイド先輩がいてくれて良かった…」
「うん。ずっとオレが側にいるから…」
「フロイド先輩…。身体、冷たいですけど…、シャワーしてからだいぶ時間経ってません?」
「小エビちゃんが起きねぇからずっと抱っこしてた」
「そんなに寝てました…?」
「うん」
「風邪、ひいちゃいますよね…。すみません…」
「大丈夫。立てる?」
「はい」
フロイドはAを抱いたまま立ち上がる。
そして椅子に座らせる。
「本当に…凄い筋肉ですね…」
フロイドが服を着るのをAはじっと見ていた。
「パルクールもバスケも筋肉鍛えないと出来ないからさぁ」
服を着てバスタオルを首にかけ、フロイドがAの前に戻って来た。
「冷えるから、談話室行こ」
「はい」
フロイドはAの手を繋いだ。
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作者名:魅樹 | 作成日時:2023年4月23日 16時