フロイドの思い 〜3〜 ページ28
「あっ?」
「ボクの事、怖くないの?」
「っつーか、誰だよっ。どっから入って来たっ」
透き通る様なシルバーの長い髪。
床までついてしまいそうな程長いのに、軽くてサラサラしている。
フロイドとほとんど身長は変わらない。
肌は白く、全てにおいて透き通る様な姿だった。
目も切れ長で例えようのない瞳の色をしている。
唇は薄く、鼻筋が通っている。
いわゆる美形だ。
「ボクはどこからでも入れるんだよ。そうだねぇ…。このままこの部屋の中の女性を見に行こうかな…」
「テメェっ!ふざけた事言ってると、マジで絞めるぞっ!」
「ははっ。威勢が良いねぇ。…おや、そろそろかな?」
その男がAの部屋のドアを見た。
「フロイド先輩、着替え、終わりました」
Aの声が聞こえてきた。
「ボク、キミの事、気に入った。良かったね」
「は?」
「フロイド先輩?」
「あ、うん」
フロイドの頬に柔らかい風が触れた。
「あれ?」
男の姿は無かった。
〜まさかっ、今のがっ?〜
あの人物なのかもしれない。
フロイドはそう思った。
明らかに学園の生徒ではなかった。
Aが心配でフロイドは勢い良くドアを開けてしまった。
「どうしたんですか?顔、怖いですよ…?」
「あ…。うん。間違って勢い良く開けちゃった」
「うふふ。フロイド先輩、面白いです」
フロイドは微笑むAを見て、胸が苦しくなるほど愛おしくなった。
「小エビちゃん…」
すぐにベッドに行き、Aを抱きしめた。
「私…、汗でベトベトですよ…?」
「そんなの関係ないよ。このまましてたいの」
「はい…。私も…」
抱きしめながらフロイドはAの傷を見た。
「傷、くっきりしてるよ。良かったね」
「フロイド先輩の毒が効いたんですね!」
「うん…。そうだよ…」
「消えませんよね…?」
「うん。絶対に消えないよ…」
「デート、出来る?」
「うん。いっぱいしようね、デートも、楽しい事も…」
「はいっ。嬉しいな…。もう、私、消えなくて済むんですよね。フロイド先輩の毒があれば、大丈夫なんですよね?」
「そうだよ。大丈夫。もう、消えないから…」
フロイドはAをギュッと抱きしめた。
「小エビちゃん…。オレ、どうしようもないほど、小エビちゃんの事が好きで好きでたまらなくなっちゃったよ…」
「私もフロイド先輩の事、大好きでどうしようもないです…」
「ずっと…、一緒にいようね…」
「はい。毒、いっぱいくださいね…」
「うん…」
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作者名:魅樹 | 作成日時:2023年4月23日 16時