フロイドの思い 〜2〜 ページ27
「………オレは…、どの部分なんだよ…」
フロイドが目を伏せた。
こんな事、Aに言える訳が無い。
フロイドがそんな思いをするなら元の世界に帰ると言い出すかもしれない。
しかし、フロイドが身体の一部を失っても、Aが自分の前からいなくなる事は無いと自信があった。
特に根拠もないが、ずっと側にいられる自信がある。
──その後、私達は結婚し、子供も産まれた。
彼女と結婚し、本当に幸せを感じた。
私はあの人物の言葉を信じ、代償を払った事を全く後悔していない。
むしろ、感謝すべきだろう。──
「感謝ねぇ……」
フロイドが呟いた。
「ん…」
「小エビちゃんっ?」
ベッドでAの声が微かに聞こえた。
フロイドはタブレットを閉じてベッドへ行く。
「起きた?」
「フロイド先輩…」
「熱、計ろっか」
「はい。なんか…少し寒いです…」
「うん。さっきね、凄い汗出てたよ。タオルで拭いてあげたけど、服が濡れてて寒いんだと思う」
「じゃぁ、熱、下がったかな?」
「うん」
少しして体温計を見る。
「37.1℃だって。一気に下がったねぇ」
「良かった…。まだ頭痛いけど…」
「まだ寝てなくちゃダメだよ。着替えだけ、しよっか」
「身体、ベトベトして気持ち悪いです…」
「まだシャワーやめた方が良いんじゃない?」
「頭痛治ったらシャワーしても良い?」
「うん。それなら良いよ。それまで我慢しようね」
「はい…」
「着替え、適当に選ぶよ?」
「お願いします」
フロイドがクローゼットから部屋着を出す。
「これ、オレのお気に入りぃ〜」
「うふふ…。ありがとうございます」
「この服、あげるよ」
「え?」
「オレのお気に入りの服を小エビちゃんが着てくれるの、嬉しいからさ」
「ありがとうございますっ。私も…嬉しい…。フロイド先輩の服…、貰っちゃった…」
「熱下がったご褒美ね〜」
フロイドがAをゆっくり抱き起こす。
「着替え終わったら呼んでね。オレ、廊下で待ってるから」
「はい…」
フロイドはAが着替え終わるまで部屋の外で待った。
その間、廊下の窓の外をぼーっと眺めていた。
〜ある人物って…。シャチさんも…、人っぽくない人だったって言ってたけど…。そもそも何で完璧な毒を持ってるんだよ…〜
謎はまだたくさんある。
早く筆者に会って話も聞いてみたい。
「キミ、面白い瞳してるね…」
突然フロイドの横に知らない男が立っていた。
しかも何の気配もなかった。
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作者名:魅樹 | 作成日時:2023年4月23日 16時