検索窓
今日:30 hit、昨日:3 hit、合計:1,535 hit

経験者 〜2〜 ページ19

「ええ。ただ、彼は輝石の国に住んでいます。すぐに会える距離では無いでしょう?」

「いいえ。それは問題ありません。何しろ、僕たちの在席する学校は、ナイトレイブンカレッジですから」

アズールが自慢げな顔をする。

「闇の鏡…ね…」

「良くご存知で」

「出版社をナメないでいただきたいわ」

スーザンがニヤリと笑った。
そしてフロイドを見る。

「リーチ君。あなたはあの自叙伝を最後まで読んで、何か感じた事はありますか?」

「別に…。だけど、小エビちゃんがこの世界に留まる事が出来るなら、オレは何でもするつもりだよ」

「ウェイさん。小エビちゃんとは、フロイドの…お相手の事です」

アズールが補足する。

「凄い勇気ね…。その小エビちゃんは何て?」

「今、高熱出して寝てるから何も知らねぇよ。それに、この先も教えるつもり無いし」

「…なるほどね…」

「アンタさぁ。凄い勇気とか言ってるけど、オレたちの話し聞いて楽しんでるだけじゃねーの?それより早く筆者に会わせろよ」

「フロイドっ。失礼だぞ」

「良いのよ、気にしないで」

「ウェイさん、フロイドが失礼な態度ばかりして申し訳ありません。彼は彼女が消えてしまう事を恐れるあまり、焦っているのです」

「そんな事ねぇよっ。余計な事言ってんじゃねーぞ、アズールっ」

「それほど小エビちゃんへの思いが強いって事ね…」

「はぁ?さっきから分かった様な事ばっかり言いやがってっ」

ついにフロイドがスーザンに食ってかかった。

「ごめんなさいね。別にリーチ君の事を試している訳じゃ無いけど、本当に小エビちゃんと離れたく無いって気持ちが伝わって来るわ。……私と同じね…」

「どういう…意味ですか…?」

アズールが眉根を寄せた。

「……実はね…。私も経験者なのよ」

スーザンのカミングアウト。
フロイドとアズールが目を丸くした。

「ウェイさんが…、自叙伝の筆者と同じ経験を…?」

「ええ」

「なるほど…。それで、この様な個性的な自叙伝を大手出版社が書籍化した訳か…」

アズールは一人納得していた。

「……」

フロイドは難しい顔をしていた。

「その通りよ。私はあの自叙伝に助けられた。当時は筆者の自費出版だったの。でも、私が筆者と同じ経験をして、筆者はまだこの先、同じ様な人たちが現れるかもしれないと、私の提案した当社からの出版を承諾してくれたの」

「そうでしたか…。それで、他に同じ様な経験をした方は?」

経験者 〜3〜→←経験者 〜1〜



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (2 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
5人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:魅樹 | 作成日時:2023年4月23日 16時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。