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フロイドの毒 〜2〜 ページ8

食堂で夕食を済ませてオンボロ寮に戻る。

「小エビちゃん。ウツボちゃんの傷、見せて」

「はい」

フロイドは何度もAの左手の傷を確認する。

「うん。さっきと変わんないね」

「前回より、治りが遅くなってるのかな?」

「この前は、最初の頃の傷の具合、全然気にしてなかったから今回とどれだけ違うのか比較できねぇなぁ…」

「フロイド先輩の毒が効いてるんですよっ!」

「そんなにすぐ効くかぁ?」

「はいっ。絶対効いてますって」

「あははっ。そーだねー。オレも小エビちゃん見てたら、そんな気、してきたぁ」

「毒って、一度入れたらずっと効果あるのかな…?」

「うん。定期的にだったら、小エビちゃん結構キツイよね…」

「この世界から消えちゃうなら、続けますよっ」

「消えちゃダメ〜っ」

何の根拠もない方法を試しただけなのに、二人はほんの少しだけホッとしていた。




夜。

フロイドがシャワーも済ませ、談話室に戻った。
先にシャワーを浴びたAが談話室で待っている。

「小エビちゃん、お待たせ〜」

「フロイド先輩…。待ってましたよ…」

「どうしたの?なんか、元気無いじゃん」

Aがソファーでダルそうにしている。

「少し前から頭痛がしちゃって…。痛み止めとかありませんかね…」

「ちょっと待ってて」

フロイドが救急箱から薬を探す。

「これ…かな?」

「ありがとうございます」

「水、持って来てあげるね」

「大丈夫です。自分でキッチンに行きますから…」

そう言うとAがソファーから立ち上がり、ゆっくりキッチンへ向かった。

「しんどそうじゃん…。座ってなよ」

フロイドが制止する。

「……すみません…」

Aはまたソファーに座る。
フロイドが急いでキッチンに行って水を持ってくる。

「ありがとうございます…」

Aがゆっくり薬を飲む。

「小エビちゃん、もう、寝なよ…」

「もったいないです…。せっかく…フロイド先輩に会えたのに…」

「オレが側にいてあげるからさぁ…。大丈夫だよ」

「でも…」

「また明日元気になったら、色んなことすればいーじゃん…」

フロイドがAの手の傷を見る。

「ほら。傷も変わってないよ。今回の方が、長くいられるかもしれないじゃん」

「……はい…」

フロイドがソファーに座るAをお姫様抱っこする。

「えっ…」

「歩くのもしんどそうだから。部屋まで連れてってあげる」

フロイドはそのまま二階のAの部屋まで行った。

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作者名:魅樹 | 作成日時:2023年4月23日 16時

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