フロイドの毒 〜1〜 ページ7
間もなくしてフロイドの口の中で鉄のような味がした。
Aの肩から出血し始めた。
フロイドはしばらくそのまま動かずにいた。
「フロイド先輩の毒…、いっぱい入ったかな…?」
Aの声を聞き、フロイドがゆっくりと肩から口を離す。
一気に傷口から血が溢れ出した。
「オレがこのまま止血するね…」
フロイドがまたAの肩を咥える。
口の中にたくさん血が流れ込む。
フロイドはそれを吸い取る。
Aも黙ったまま動かない。
しばらく二人はそのまま静かにしていた。
そして。
「だいぶ止まったかな〜…」
くっきりと歯型が出来たAの肩をフロイドが確認する。
「どうですか?」
「あらら…、また出てきた」
フロイドがすぐにまた傷口を咥える。
「フロイド先輩にそうやって吸われてるの…、気持ち良いです…」
「ん」
それしかフロイドは返事が出来ない。
「血が止まるまで、そのまましててくれますか?」
「ん」
Aの出血がやっと止まった。
「ありがとう、フロイド先輩。これで、毒が入った気がしますっ」
「本当にそうならいーんだけどねぇ…」
「きっと、そうですよ」
「きっとじゃ、ダメなんだってぇ…」
フロイドがため息をつく。
「でも、方法…探しようがないじゃないですか…」
「闇の鏡が間違ったこと言ってるだけかもよ〜」
「そんなことあるんですか?」
「わかんない」
そう言いながら、フロイドが救急箱を持って来てガーゼを出す。
それをAの傷口に当ててテーピングする。
「ありがとうございます…」
「うん」
フロイドがAのブラジャーの肩紐を直し、Yシャツを元に戻す。
ボタンも留めてあげる。
「なんか、恥ずかしいです…」
「これが?さっきの肩出してる方が、よっぽど恥ずかしい格好じゃん」
「そう…ですよねっ…」
Aが急いでベストを羽織る。
ボタンを留めている途中でフロイドが肩からブレザーを掛けてくれた。
「他の男に…、絶対に肌…見せんなよ…」
「はい…」
フロイドが肩の傷に当たらないようAを優しく抱きしめた。
その後、二人は図書室に行って何か手掛かりになりそうな本は無いかと探してみた。
「だいたいさぁ。どのジャンルなの?」
「ウツボ?異世界?毒?」
「でもそのジャンルから探してみないとねぇ…」
二人で手分けして探していく。
結局その日は何も見つけることが出来なかった。
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作者名:魅樹 | 作成日時:2023年4月23日 16時