初めてのデート 〜7〜 ページ46
フロイドは恥ずかしがることもなくAに似合いそうなランジェリーを選び始めた。
「小エビちゃんさぁ。今まで黒とか着けたことある？」
「黒は…無いですね…」
「はい。じゃ、まず黒ね」
「黒っ…！」
「小エビちゃんちっちぇ〜けどぉ、大人っぽい黒とか着けてるとこ見てみた〜い」
「分かりました…」
「それとぉ、カワイイ感じのピンクね〜」
「はい…」
「水色もいーねぇ〜」
「ランジェリー選びもセンスあるんですね…」
Aが呟いた。
「ううん。ただのオレの好み選んでるだけぇ〜」
「そうなんですか…？」
「そーだよ〜」
フロイドがどんどん選んでどんどんカゴに入れていく。
「あの…、何着買うんですか？」
「えーっとねぇ。……今これで10着」
「10着っ!?」
「毎日選ぶ楽しみあっていーじゃ〜ん」
「そ…うですね…」
ランジェリー選びもスムーズに進んていった。
夕方。
たくさん買い物をした二人がオンボロ寮に帰って来た。
「デート、楽しかったね〜」
「はいっ。また、デートしてくださいね」
「うん。たくさんしようね」
フロイドが談話室のテーブルに大量の紙袋を置く。
「凄い買っちゃいました…」
「いーのいーの。アズールが学園長に生活準備費を捻出してもらったんだから、遠慮しないでたくさん買っていーんだよ〜」
「うふふ…。セレブみたいです」
「この学園はセレブっちゃセレブかもねぇ」
フロイドがソファーに座る。
「お茶、淹れましょうか？」
「なんかジェイドみた〜い。でもぉ、なんか飲みたいよね〜」
「コーヒーと紅茶だったら？」
「いつもジェイドに紅茶飲まされてるからぁ、コーヒーかなぁ？」
「分かりました。私、コーヒー淹れてきますね」
「ありがと、小エビちゃん」
Aがキッチンへ行く。
それとほぼ同時にフロイドにメールが届く。
〜アズール…〜
──ウェイさんから連絡がありました。
自叙伝の筆者が体調を崩していて、しばらくの間、面会は難しいとの事。
面会が可能になり次第、また連絡をもらえる事になりましたが、毒の効果が持つうちに面会出来るか分かりませんよ。──
「……」
フロイドがムッとした顔をする。
〜クリスの事はさすがにアズール達にも言いたくねぇなぁ…〜
言えば契約を交わすことを更に反対されるのは目に見えている。
──りょーかい──
これだけ返信した。
フロイドは立ち上がり、Aのいるキッチンに行った。
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作者名：魅樹 | 作成日時：2023年4月23日 16時
