二人の時間 〜1〜 ページ39
放課後。
「フロイド先輩っ」
「グッピーちゃんとは、バイバイしてきた？」
「はい」
「じゃ、帰ろ」
今日は部活もない。
ただ寮に帰ってダラダラするだけだ。
昨日の事もあり、フロイドが先に寮の中へ入る。
「小エビちゃん。おいで」
「はい」
フロイドがAの手を繫ぎ、談話室へ連れて行く。
「あー。腹減ったー」
ソファーにドンッと座りながらフロイドが言う。
「フロイド先輩。何か作りましょうか？」
「小エビちゃん、料理出来んの？」
「あんまり期待されると…」
「何作ってくれる？」
「えっと…、一昨日、学園長が持って来てくれた食材がキッチンにそのまま残ってるから…」
「じゃ、見に行こ」
フロイドとAはキッチンに入り、食材を確認する。
「さすがに日持ちするものばっかりですよね…」
「卵もある。冷蔵庫は〜？」
フロイドが冷蔵庫を開ける。
「バター、牛乳…。牛乳なんてあったんだぁ。オレ、普通に飲もっかな」
フロイドが勝手に開けてグラスに牛乳を注ぐ。
「小エビちゃん飲む？」
「牛乳ですか。たまには飲もうかな…」
「はいはーい」
フロイドがもう一つグラスを出して牛乳を注ぐ。
二人は牛乳を飲みながら食材の確認を続ける。
「うーん…。何が出来る…かな…」
「何これ」
フロイドが小麦粉が入っていたカゴの中を見た。
「アーモンドプードル…。なんでこんなのまであるワケ？」
「アーモンドプードル…。小麦粉…。バター…。フロイド先輩、砂糖と塩ってありました？」
「うん。あるよ。ほら」
「ふっふっふ…。フロイド先輩！決まりましたっ」
「何、その笑い方〜」
「クッキー。作りましょうっ！」
「クッキー？めんどくせぇヤツじゃ〜ん…」
「いらないですか？」
「いる」
「即答…」
「小エビちゃんが作ってくれるんでしょ？」
「はい。バターたっぷりのアーモンドプードルクッキー作りますね。オーブンもあるし、材料も全部揃ってる」
「おっけー。じゃ、オレ、ここで見てるー」
「手伝ってくれないんですか…？」
「えー？めんどくせぇ…」
「そうですか…」
Aはしょんぼりしながら材料を作業台に出し、手を洗い始めた。
「しょーがねぇなぁ…」
フロイドがダルそうにAの側まで歩いて来た。
「良いですよ、めんどくせぇんでしょ？」
「何怒ってんの？」
「怒ってないですよ。しょんぼりしただけです…」
「もっとダメなヤツじゃん…」
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作者名：魅樹 | 作成日時：2023年4月19日 9時
