恐怖、再び 〜3〜 ページ31
「ふふーん。下も脱ぐよ〜？」
Aの視線に気付いていたフロイドがスラックスのベルトを外し始めた。
「あっ……、すっすみませんっ…」
「顔、赤いよぉ？」
Aが壁側にクルッと向きを変えた。
「あのっ…私が見たいのは…、その…、腕の筋肉とかで…」
「ふーん。足の筋肉もすっげぇのになぁ。人魚なのに足があって歩けるしぃ、走れるしジャンプも出来る。人魚になれば泳ぐの速いしぃ」
「さっき体育館でフロイド先輩の足の筋肉も凄いって知りましたよ…」
「じゃぁさ、今度はもっと近くで見てね。じゃ、入ってくるよ〜」
「はい…」
フロイドが浴室に入って行った。
「はぁ…」
Aがため息をつく。
浴室からシャワーの音が聞こえ始めた。
〜フロイド先輩がいなかったら…、私はどうなってたんだろう…〜
こんな時にまた昨日の事を思い出してしまう。
知らない男に太ももを触られたあの感触。
〜気持ち悪い…〜
思わず太ももを擦る。
〜スカートの中にまで…〜
Aはあの時もう少しのところで下着に触れられそうな所だった。
「…………嫌だっ…」
物凄い恐怖が一気に襲ってきた。
「フロイド先輩っ！」
今までにないほどの恐怖に襲われ、Aは大声で叫びながら浴室のドアを開けた。
「小エビちゃんっ！」
何事かと、フロイドも凄い形相でAに駆け寄る。
「誰か来たっ？」
「ううんっ…。凄く…、凄く怖くなって…。それで…」
「……そっか…。大丈夫。オレがいるよ？」
「はい…。昨日の事…こんな時に、思い出しちゃって…、怖くて怖くて…」
シャワーが床に当る音が聞こえる。
「うん…。怖かったよね…。オレに出来ること、ある？」
「あの…」
「ん？」
「すみません…。ついこんな所に駆け込んじゃって…」
ふとAが我に返る。
「オレの裸見られたって、減るもんじゃないし」
フロイドが急いでバスタオルを腰に巻いた。
「でも、オレの裸でも、男の裸見るの、怖いよね…」
「……いえ…」
「小エビちゃん、イヤじゃなかったらぁ、ここで待ってて。オレ、早くシャワー済ませちゃうからさ」
「良いんですか？」
「うん。オレは全然いーよ」
「はい…。じゃぁ、ここにいます…」
「うん」
フロイドはまたシャワーのある場所に戻って行った。
〜何やってんだろう…私…〜
怖いのだから仕方がない。
フロイドはそれをきちんと受け止めてくれる。
Aはシャワーの音に集中して何も考えないようにした。
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作者名：魅樹 | 作成日時：2023年4月19日 9時
