恐怖、再び 〜1〜 ページ29
「ほらぁ。早く答えないと、本当に折れちゃうよぉ?」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいっ!すみませんでしたっ!服、盗もうとしましたぁぁぁ……」
「ふーん」
フロイドは片手で男子生徒の両腕を持ち、スマホを取り出して電話をし始めた。
「……あのさぁ。また一人、捕まえたー。……うん。早く取りに来て」
すぐに電話を切る。
「服盗んで、どうするつもりだったのぉ?」
「……女の子が…着てる服って、どんな匂いなのかなって…。つい…魔が差して…」
「魔が差して?計画的の間違いだろ?」
「……」
「変態野郎がっ…」
少しして、ジェイドとジャミルがやって来た。
「フロイド。良くやりましたね」
「ジェイド。階段の横に小エビちゃんいるから」
「分かりました」
フロイドの言葉を聞いて、ジェイドが階段の横に隠れているAの所へ向かった。
「フロイド、済まない。うちの寮生がこんな事をして…。カリムにはキツい処分をしてもらうように伝える。それと…Aさんにも俺から謝罪を…」
「そんなの良いからさ。それよりコイツをとっとと連れ出してくんない?」
「あっ…、ああ。分かった。謝罪は日を改めてしよう…」
ジャミルは手際良く男子生徒の腕を掴み、オンボロ寮を出て行った。
「………」
フロイドが黙ったまま床に散乱した服を拾い上げる。
「フロイド。Aさんは無事でしたよ」
「当たり前だよ…」
フロイドの元にジェイドがAを連れて来た。
「小エビちゃん。2日連続で、怖い思いさせちゃったね…」
「いえ…。あ…ありがとう…ございました…」
「まだ、震えてる…」
「……はい…」
「フロイド。僕はこの件をアズールに報告しに戻ります。また何かあれば連絡を」
ジェイドはそれだけ言って寮を出て行った。
「小エビちゃん…」
フロイドがAを優しく抱きしめた。
「もう、大丈夫だよ。……オレにギュッってされても怖くない?」
「はい…」
Aはフロイドの胸の中でじっとしていた。
それでも震えが止まらない。
「よしよし…」
フロイドがまた背中を擦る。
そのまま時間が過ぎて行く。
「少し、震え止まってきたね…」
「はい…。でも、まだ…怖くて…」
「そうだよね…」
フロイドが突然Aをそのまま抱き上げた。
「えっ…?」
「ここじゃ寒くなるから。談話室に連れてってあげる」
フロイドはAを談話室に運んだ。
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作者名:魅樹 | 作成日時:2023年4月19日 9時