ウツボが好き過ぎる 〜11〜 ページ11
「確かに…」
「持って来れたの、ウツボのぬいぐるみだけなんでしょ？」
「…はい…」
「困りましたねぇ…。女性の服となると…すぐには用意出来ませんから…」
「いーよ。オレの服、貸してあげる」
「Aさん。フロイドはそう言っていますが、それでもよろしいですか？」
「えっ…。でも…」
「ふふふ。サイズは問題ありません。魔法で直せますから。それに、フロイドは服のセンスがあるようなので、Aさんも気に入るかもしれませんよ？」
「今度の休みにでも、小エビちゃんの好きな服、街に買いに行けば？それまでオレの服貸してやるからさ」
「ありがとうございます…。でも、この世界、全く分からないし、お金も持ってないし…。服を買いに行くなんて…」
「ふふふ。それは心配ご無用です。アズールが学園長に交渉してAさんの生活費は学園から捻出してもらえるようにしてもらいましたから。なにせ、闇の鏡に選ばれた異世界の女子生徒ですから」
「魔法、使えないのにねぇ？」
双子がニヤニヤと笑う。
「……はい…」
「では、私服はフロイドから借りてくださいね。フロイド。次のお休みの予定は？もし何もなければAさんを街に案内してもらいたいのですが…」
「……いーよ」
「それは助かります。僕は副寮長とモストロ・ラウンジの仕事があるので恐らく時間が作れないかと」
「分かりました。フロイド先輩、よろしくお願いします」
「おっけー。街に行くのも久しぶりだしぃ、小エビちゃんの服選び、面白そうじゃん」
「ふふふ。街デート、楽しんで来てくださいね」
「別にデートじゃねーし…」
「ふふふ。そうですか？」
ジェイドは微笑みながら階段を降りて行った。
「そうだ。フロイド。この寮に、変な輩が侵入しないよう、見張りもお願い出来ます？なにせ、Aさんは学園唯一の女性ですから。念には念をと思いまして」
一階に降りたジェイドがフロイドを見上げた。
「はいはい」
「よろしくお願いしますね」
ジェイドは寮を出て行った。
「あの…。ジェイド先輩に色々頼まれてますけど、大丈夫ですか…？」
「うん。イヤじゃねーから別にへーき。てかさ。ジェイド何にも手伝ってねーじゃん…」
「うふふ…。そうですね」
「しょーがねぇなぁ…」
フロイドが部屋に向ってマジカルペンを振った。
「何の魔法ですか？」
「清掃魔法。ジェイドに見つかるとうるせぇから、ナイショね」
「そうなんですかっ…。分かりました…」
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作者名：魅樹 | 作成日時：2023年4月19日 9時
