決闘の申し込み 〜2〜 ページ8
「こんなに庭のお手入れしてくれて、ありがとう。植物たちもきっと喜んでいるわ」
「独学ですけど、ジェイド君も一緒に育て方やお手入れ方法を調べてお世話してくれるんです」
「素敵な方ね」
「はいっ」
そんな話しをしていると、ジェイドが戻って来た。
「大家さん。今日は大家さんに是非食べてもらいたいプリンをお持ちしました」
「かぼちゃのプリンじゃなくて？」
「ええ。これは、大家さんだけです。まだ試作段階なので」
ジェイドは小さな箱からプリンを出す。
「緑色のプリン？」
「ふふふ。抹茶のプリンです」
「まあっ！抹茶？なんて素晴らしい！」
大家さんが目を丸くして驚いた。
「キッチンの食器棚や床下収納から、茶道の道具を見つけたんです。僕なりに調べて、抹茶を点ててAと飲んだりもしているんです」
「そうだったの。茶道は色々な作法があって、大変なのよね。でも私、抹茶大好きなの。早速、食べて良いかしら？」
「ええ。是非」
大家さんが抹茶のプリンを一口食べた。
「抹茶の苦味と香りがそのまま残っているのに、プリンの甘さも感じるわ。お互いの良いところが混ざり合っていてとても美味しいわ！」
「良かった！」
Aも喜ぶ。
「大家さんに気に入って頂けたのであれば、商品化出来ますね」
ジェイドも微笑んだ。
「是非、このプリンをお店で販売して欲しいわ！そしたら、また私も食べられるもの」
大家さんがどんどん抹茶のプリンを食べる。
「では、帰ったら早速、商品化に向けて調整していきましょう」
こうして抹茶のプリンは完成した。
また二人はジェイドの家に戻って来た。
「僕たちも、ティータイムしましょう」
ジェイドはキッチンでお茶の用意をする。
「はいっ。今日のクッキーは何にしようかな…」
幸せな時間を二人で過ごしている時に限って、それは邪魔される。
Aがクッキーを皿に盛っていると、スマホにメッセージが届いた。
「セナ君からだ。なんだろう…」
Aは内容を確認する。
「……えっ…。…嘘…」
Aがスマホの画面を見たまま固まった。
「A？どうかしましたか」
異変に気付いてジェイドがAのところにやって来た。
ジェイドもセナからのメッセージを読む。
「これは…」
──今、学園長がAを探しに来たから外出してることを伝えたよ。
代わりに俺が用件を聞いたんだけど、オスカーが寮長に決闘を正式に申し込んだって。
決闘は三日後だそうだ。
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作者名：魅樹 | 作成日時：2023年3月23日 21時
