決闘 〜9〜 ページ20
「A。しばらくは俺が寮長代理を務めるから大丈夫だ。Aは回復するまで、ジェイド先輩にしっかり面倒見てもらって来いよ」
「うん…。ありがとう…」
「さぁ。早く」
アズールがまた頭をポンポンした。
「みんな、ありがとう。それと、よろしくお願いしますっ」
ビュンッ…
綺麗になったコロシアムからAの姿が消えた。
ビュンッ…
「Aっ！」
「ジェイド君っ！」
Aはジェイドの家のリビングに瞬間移動した。
「あっ…。靴…靴っ…」
すぐにAは靴を脱ぐ。
その直後、ジェイドがAを思い切り抱きしめた。
「Aっ…。良く、頑張りましたね…」
Aもジェイドにしがみつく。
「うん…。怖かったけど…、アズール先輩と、アズール先輩から聞いたジェイド君の伝言で、勇気をもらえたんだ…」
「そうでしたか…。……A…。随分雑な喋り方ですね…」
「あぁ。アンナちゃんにも、人が変わったって言われたよ…」
「暴走のせい？」
「たぶん…。私は私なんだけど、どうやってもコントロール効かなくて…」
「それだけ、大変な思いをしたと言う事ですよ…。タコに襲われた時には心臓が止まりそうでした…」
「見てたのか？」
「セナ君がこっそりライブ映像撮ってくれていたんです。声までは聞こえませんが…」
「知らなかった…」
「見られたくなかった？」
「ううん…。見ててもらえて嬉しい…」
「眠くない？」
「うん。今は…。凄く…興奮してるっていうか…、今なら何でも出来る気がする…」
「これ以上、魔法を使ってはいけません…」
「分かってる…」
『キュ〜ンッ…』
ジェイドが不思議な顔をする。
「あ…。そうだ。忘れてた」
Aが胸から小さなタコを出す。
「オスカーのタコ？」
「私がオスカーからもらったんだ」
「もらった？危なくないのですか？Aを襲ったタコでしょう？」
「誰？って言っている」
「タコの言葉が、分かるのですか？」
「今はな。コイツは私に消されるのを怖がって、必死に助けを求めてきたんだ。オスカーの元に戻れば消される運命だった。だから、私がもらってきた」
「そうでしたか…。二人で何か話しをしているのは見えていましたが…。このタコまでは…」
『キュ〜ンッ』
「だからお前は誰だ？って、言っている」
「ふふふ。A。このタコ、握り潰して良いですかっ…」
「何を言っている。そんなことしたら、私がジェイド君を握りつぶすぞ」
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作者名：魅樹 | 作成日時：2023年3月23日 21時
