珊瑚の海での一週間 願いを叶える石編 〜6〜 ページ35
「ええ。僕も、そう聞こえました…」
『……我は…永久では…ない………。時が……来た……。もう…我は…間もなく………消滅する………』
「そんなっ…。今やっと会えたばかりなのに…」
「消滅してしまったら、あなたのこの意思も、願いを叶える力も、サンゴから消えてしまうという事ですか?」
『消滅とは……そう言う………意味……』
「嫌です!私、石さんが消えちゃうなんて、嫌ですよっ!」
「A。仕方がないんですよ…。魔法にだって、永久はないのです…」
「ジェイド君は石が消えても良いの?せっかく会えたのに!せっかくマリアの事教えてあげられて、これからは私とジェイド君が石さんのお友達になれるはずなのにっ!」
「僕だって存在していてもらった方が良いですよ…。もちろん、場所は誰にも言いませんが」
「何とかならないの?ジェイド君!」
なぜかAはジェイドを頼った。
「……石さん。あなたの願いを、あなたの力で叶えることは出来ないのですか?」
『無理……だ。我は願い……を叶えるために……存在する。我の……願いを叶えるため………ではない』
「……もし…、願いが叶うとしたら…、何て願う?」
Aが質問した。
『考えた……ことも……ない…が…、もし…、叶うなら……ば……。……マリア……や…お前たち……の…様に……、我の…意思……で……、お前たちの……言う…寂しい…、好き……、と…言うもの……を…知って……みたい……。我は……我の…意志で……動くことも………出来ない。…ただ…願いを…叶えるため…だけに……存在……する……』
Aは涙が出てきた。
『A。……ジェイド。………時間……だ………。我は……消…滅…………』
「石さん待って!」
Aが泣きながら岩の隙間に手を入れてサンゴを握った。
ポキッ……
サンゴの枝が一つ折れた。
それをAが握る。
「ジェイド君見てっ!このサンゴ、まだ輝いてる!まだ石さんは消えてないっ!」
「A、何をするんです?」
Aが目を閉じて折れたサンゴを握ったまま胸に当てる。
すると手の中が淡いピンク色に光った。
「おばあちゃんがやっていたみたいにして、呪いを解きました。たぶん…解けてる…はずっ」
そしてAは手を広げ、サンゴを見て言った。
「お願いします。願いを叶える石さんが消滅してしまったら、次は…、人間として生まれ変わり、幸せな人生を送れるようにしてくださいっ!」
『A……。ありがとう…』
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作者名:魅樹 | 作成日時:2023年3月4日 9時