珊瑚の海での一週間 リーチ家編 〜14〜 ページ28
「みんなで街に買い物行くの、楽しみにしてたのにぃ」
「楽しみは後の方が、ワクワクするではないですか」
「私のせいです…」
「A。それ、次言ったら、怒りますよ」
「……すみません…」
「おしおきです」
「はい…」
ジェイドがAにキスをした。
「自分のせいにしてはいけないと、何度言ったら分かるんです？」
「だって…」
「だって…じゃありません」
「でも…」
「でも…じゃありません」
「ですが…」
「僕を、本気で怒らせたいのですか？」
「ジェイド君…、怖いです…」
「はぁ…。朝からなんですか…。せっかく楽しくお話ししていたのに…」
ため息をつきながら、ジェイドは起き上がった。
「A、疲れは大丈夫ですか？」
「はい。バッチリ眠れましたからっ」
「ふふふ。自分からキスを求めてきたくせに、いつの間にか途中で眠ってしまうくらいですからね」
ジェイドが眉根を寄せて笑った。
「それだけ…ジェイド君のキスが安心出来たって事じゃないですかっ…」
「僕のキスはAの睡眠導入剤と言う訳ですね」
「私、ジェイド君の薬、いっぱい持ってますっ！」
「何そんなに自慢げに言っているのです？」
ジェイドがにこやかに言った。
その後、みんなで朝食を食べた。
「いやぁ、Aさんの治癒魔法、素晴らしいねぇ！ジェイドがこんなにピンピンしているではないですか。ねぇ、ママ」
「本当に凄いわ〜！Aちゃん、ありがとうね！」
「Aさんは、本当に大丈夫なんだね？」
「はいっ！私も、ピンピンしてますよっ」
「ハッハッハッ！若いって、素晴らしい！」
「では、外出は許可してもらえますね？」
ジェイドがパパに言った。
「いいや。もう少し様子をみなさい。せめて午後まではね。ジェイドのお気に入りの場所がどこなのか知らないが、多少なりとも二人で泳いで行くのでしょう？お昼を食べて、ゆっくり休んで、外出するならそれ以降にしなさい」
「分かりました。A、そうしたら、お気に入りの場所には日が落ちる前に行きましょう。それはもう、日が沈んで行く景色は言葉では表現出来ない程の美しさですよ」
「はいっ。楽しみだな…、ジェイド君のお気に入りの場所…。でも…、石にも会わなくちゃ…」
「ええ。そちらがメインですからね」
ママとAが片付け始めた。
ジェイドも手伝う。
「石と、ちゃんとお話し出来ると言いわね」
ママが心配そうな顔をした。
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作者名：魅樹 | 作成日時：2023年3月4日 9時
