珊瑚の海での一週間 フォード家編 〜3〜 ページ3
「ふふふ。あの頃は、好奇心旺盛でしたからね。疲れる事を考えもせず、まっしぐらに遊び倒していました」
「私も、そういう生活、してみたかったな…」
「Aは、一人っ子でしたもんね…」
「…それもあるけど…、お父さんから、おまり外に出るなって言われてたから…」
「可愛い一人娘で心配だったのでは?」
「………そうだったら良いんですけどね…」
Aはあまり良い返事が出来なかった。
ジェイドも何となくそれを感じ取った。
「やっと…、着きますね」
珊瑚や岩しかない所に、一軒の大きな屋敷が見えてきた。
大きな岩で出来た石垣に囲まれ、大きなサンゴに覆われるように建てられた貝の家。
一見、不気味さをも感じさせる。
「本当に遠い…」
「僕の背中に乗ってただけのくせに、良く言いますね」
「私だって泳いだじゃないですかっ!」
「僕との距離がどんどん離れて行きましたよね?」
「意地悪っ!」
Aがジェイドの背中を絞めつけた。
「んーっ。なんて気持が良いんだ!A、もっと絞めてっ」
「ど変態っ!」
ジェイドは少しずつスピードを緩めていく。
「ここから入りますっ」
ゆっくり泳いで行くジェイドにAが声を掛けた。
大きな石垣なのに小さな門。
「この門から玄関までまだ少し距離あるけど、ここからは私も泳ぎます」
Aがジェイドの背中から降りた。
「そうですか。分かりました」
Aがジェイドの手をギュッと握る。
「行きましょう」
「ええ」
二人はAのペースで玄関まで泳いで行った。
「ただいまーっ!」
玄関に入り、Aが大きな声で言った。
「Aっ?お帰りなさいっ!」
すぐに返事が帰ってきた。
そしてゆっくりとタコのお母さんがAの元へやって来た。
「ただいま、お母さん」
「お帰りなさい!」
お母さんがAとジェイドに微笑んだ。
とても美人なタコのお母さん。
「お母さん、紹介するね。この人が、ジェイド・リーチさんだよ」
「初めまして、Aさんのお母様。ジェイド・リーチです」
ジェイドも笑顔でお母さんに挨拶をする。
「どうも、初めまして、ジェイドさん。やっと、お会いすることが出来ました。いつも娘がお世話になっております。今日は遠い所、こんな家に出向いて頂きありがとうございます。どうぞ、上がってください」
「では、お邪魔します」
お母さんは客間に二人を案内した。
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作者名:魅樹 | 作成日時:2023年3月4日 9時