珊瑚の海での一週間 リーチ家編 〜4〜 ページ18
Aはその後、パパに抱きあげられてベッドで眠った。
朝まで起きることはなかった。
翌朝。
「………」
Aが目を薄っすら開けた。
「……！ジェイド君っ！」
「おはようございます、A」
Aのベッドにジェイドが一緒に寝ていた。
「お…おはようございます…。…え…？何でここにいるの…？」
「ダメですか？」
「ダメとかじゃなくてっ、だってジェイド君…。骨折と全身打撲して…」
「A。昨日、僕に治癒魔法…使いましたね？」
「…はい…」
「そのせいで、かなり回復してしまったではありませんか」
「治癒魔法って、使っちゃダメ…なんですか…？」
「何を言っているんです？僕はかなり回復してしまった、と言ったんですよ。なぜ使っちゃダメになるんですか…」
「回復してしまった、って、ダメな方の言い方じゃないですかっ！何を言っているんです？は、こっちのセリフですよっ！」
ジェイドが突然キスをしてきた。
「おはよう、のキス、まだでしたね」
「…はい…」
「それと」
ジェイドがまたキスをしてきた。
「ありがとう、のキスです」
「ありがとう…？」
「Aの治癒魔法のお陰で驚く程、回復出来ました」
「じゃあ、骨折も…？」
「残念ながら、骨折は…治っていないようです。身体のあちこちの痛みは、だいぶ良くなっています。まだ、完璧ではありませんが…」
「余計な事…じゃなかったですか…？」
「余計な事だったら、ありがとう、のキスなんてしていませんよ」
「…………」
「A？」
黙り込んだAの顔をジェイドが覗き込んだ。
Aは涙をポロポロ流して泣いていた。
「良かった…。ジェイド君が、少しでも回復してくれて…。私の魔法…、役に立ったんだ…」
「うっ…」
痛みで思わず声が出たが、ジェイドは構わずAを抱きしめた。
「今は、これくらいの力でしか…抱きしめてあげられませんが、A、本当にありがとう。僕のために、色々頑張ってくれたんですね」
ジェイドがAの額にキスをする。
「だって、私のせいで…、ジェイド君…死んじゃうかと思ったの…。死ななくても…あんなジェイド君、見てるのツラかったし…」
「うっ…」
痛みで思わず声が出たが、ジェイドは構わずAの頭を撫で始めた。
「心配かけましたね…。でも、僕は大丈夫。それに、今度こそ、Aを守ることが出来ました。こうして、Aは無事で僕の目の前にいる…」
ジェイドがAの額にキスをする。
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作者名：魅樹 | 作成日時：2023年3月4日 9時
