今日もフラれた。【ピンガ】

６.バーボンとお仕事 ページ8

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その日の夜








『バーボン』




「！

珍しいですね
貴方が僕を呼び出すなんて」






今夜は仕事があるため
ついでと言ったら可哀想だけど、彼を呼び出した。






『仕事行くよ
話はそれから』




「はいはい」








綺麗なドレスに身を包み




高価な小物を持ち歩く




メイクも髪型も念入りに








なんて言ったってパーティーに潜入するんだから







『(そういや、バーボンも顔がいいんだっけ)』






運転席に座る彼もおめかしして来てる。




さぞかしモテるんだろうなぁ。








『ねぇ、』




「何でしょう」




『女を振ったことある？』




「…」






何言ってんだこいつ、みたいな顔で見られた。



割と真剣な質問なんだけど。







「…それ、貴方がこれからする話と何か関係あるんですか？」



『うん。またピンガに振られた』



「懲りないですね」






車を発進させ、会場へと向かう私たち。


にしても、この車に乗ったのは初めてだけど
結構スピード出るんだな…






「と言っても貴方の事ですし
どうせ諦めないんでしょうけど」




『いや、』




「……？」






チラ、と横目でこちらを見てきたバーボン。






『色々理由があるんだけど

しばらく会えない、というか…
顔を合わせたくない』




「え」







いや、何その顔。


こいつ私の事なんだと思ってんの。







「あんなにストーカーしておいて…？
急にどうしたんですか？」



『言い方やめろ』






思い返せば確かにそれっぽかったけど！







『でね、今日持ってきたその紙袋に…』




「…？」




『アイツに借りた服と鍵が入ってるから
今週中に渡しといて』




『……！？』






あ、今ので色々悟ったな、バーボン。


顔が物語ってる。





いつもポーカーフェイスで
何を考えてるか分からない彼でも、


こんな風に表情を崩すこともあるんだなと
今までとバーボンの印象がちょっと変わった。








「顔を合わせたくないんですよね…」




『え？…まぁ、出来れば。』




「はぁ…」






彼がため息をついたと同時に、車が停止した。



どうやら会場についたらしい。







車を降りて会場に向かっていく彼を追いかけると
バーボンは



“修羅場になりそうですね”

なんて言い出す始末。






『(なんの事…？)』







その意味を理解できたのは


入場して数分後の事だった。










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