親友の秘密を知ってしまった。

３７.緊急連絡 ページ39

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「どうしたの？最近いつもそんな顔してるわね」







仕事中。




パソコンをボーッと眺めていた私の元へ
グレースがコーヒーを持ってきてくれた。






『え…そうかな？』




「見る度にそんな顔してる」






グレースのこういう所に感激する。


周りをちゃんと見てるとこ。






『ピンガさんの事考えてた』




「！」






ジッ、と彼女の目を見つめて答えると
グレースは口を閉ざして見つめ返してくる。






「彼がどうしたの？」



『…』





心配そうな視線が
何かを探るような視線に変わり、


思わず視線を逸らしてしまった。






人のちょっとした変化に気付ける人だ、
視線だけで考えてることがバレてしまいそう。







実は、彼について少し調べたのだ。


……社員の名簿を。







“ピンガ”なんて名前は何処にもなかった。



もちろん偽名かもしれないし確信はないけど
彼はやっぱりここ(･･)の人間じゃない。








「…A？」




『！ううん
コーヒーもらうね
ありがと』




「･･･」





…横からの視線が痛くて飲みずらい。






コーヒーはひと口だけ飲んで、
指で飲み口をグイッと拭った。



これは日々グレースの事を見すぎているせいで
移ってしまった癖だ。







「もし…」




『え？』




「もし、彼が危険な人物だったら
貴方はどうする？」




『え…』






この言葉で思い出したのは
謎の女性と会話をしているピンガさんの姿。





“始末”やら“防犯カメラを盗み見る”やら
色々と犯罪めいた言葉ばかり使ってたのを覚えてる





ここの人間じゃないってことは

彼はもしかして本当に…





改めてグレースを見上げると、
彼女はいつも通り笑顔を浮かべて私を見下ろしている。







＿＿そんな謎の沈黙が続いていたとき、



局長である牧野さんが険しい表情で部屋に入ってきた。







(どうしたんだろ…)





不具合が起きた時とかにたまに見る表情だったけど
今日は何となく雰囲気が違う気がした。



…グレースもじっと局長を見つめている。







「みんな、緊急連絡だ
“ユーロポール･防犯カメラ･ネットワークセンター”に
何者かが侵入し…

目撃者である職員が殺害された。」





『…え』








身近と言えば身近

そこで起きた侵入･殺人事件。







不安になった私はなんとなく
グレースを盗み見してみたものの


彼女はこの時、ただ薄ら笑みを浮かべるだけだった。







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