親友の秘密を知ってしまった。

３２.分からない彼 ページ34

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「･･･、」



『…』



彼は机に置かれたスマホに触れながら
しばらく沈黙を続けた。




時間が経つに伴い、
バクバクと私の心臓の鼓動も速くなる。





「…」



『ッ』





そして不意に視線を向けられた。




『…なに？』




慌てて笑顔を作ってみたけど
ちゃんと笑えてるかな私。


内心焦りまくってる。





やり取りの相手の“正体”だなんて言い方

この人は一体何を隠してるんだろう。






「見たか」




『…！み、見てない』




「…」






鋭い視線が突き刺さる…


…もうバレてるんじゃないのこれ。





ボロが出ないように、
私はそれとなく布団に潜った。(なんで？)






「…は？また寝んの？」




『……グレースの香りを…』






グレースの香りはただの安心剤。

精神安定剤と言っても過言では無い。((




ドヤ顔で布団を被っていると
彼の荒んだ目と目が合った。なんか引かれてる。






「…じゃ、この指紋はグレースのだな」




『･･！』






そっか、グレースって言う手があった。





彼がそんな事を言うってことは


私の考えてたこと……
グレースと彼は同一人物＿＿だなんて


やっぱりあるわけなかったんだ。





彼がグレースをちゃんと認識して
存在してるって事を証明してるわけだから






それともう1つ


気になってたこと





『ねぇ…』




「ん？」




『貴方って
…彼女いる？』




「…」






“何言ってんだこいつ”

みたいな顔で見つめられる。




当たり前の反応だ。






「いたら？」




『…』




「…いなかったら？」




『私が慰めてあげよう！』




「…

…ふっ」







この人ってちゃんと表情あるんだ…



いつもニタリと笑うか
スンッて感じで素っ気ないのに






『笑ってもかっこいいんだね』



「は？」



『…あ』






気が付けば本音が口から零れていた。




すると、
慌てて弁解しようとしていた私を見た彼は




「……そう言うお前は馬鹿なんだな」


なんて言って笑う。





『!?』



バカにした笑いだったのかな今の。






…彼の本性が分からない。
今日のこの人はコロコロと表情や態度が変わる。


多分、やっぱり何かを隠してるんだろうなって
そう思った。




携帯の画面を見つめる表情がいつになく深刻だったから。





いつか私に打ち明けてくれる日は
来るのだろうか


















「ずっとそのままでいてくれ
最後まで

何にも気付かずに」





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