Hurt ページ43
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連日、夜遅くまでここで踊っていると、大樹さんから聞いて、居ても立っても居られなくて、足を運んだ。
そっと覗いた扉の向こうでは、汗だくになりながら映像を確認しては身体を動かし続けるAの姿があった。
細い手足はますます細く見えて、大好きなサーフィンも今年はまだ行けてないと話していたせいか、毎年真っ赤に焼けて怒られていた肌も、白すぎるくらいに見えた。
踊り続けるAは、集中していて、そっと扉を開いて入ってきた俺にも気付かない。
扉を開けて、流れる曲に耳を傾ける。
あぁ、これは昔にも聴いたことがある。
BOT関連ではないから、彼女自身が踊りたくて踊っている曲だ。
いつだったか、Aが大好きだと話していたChristina Aguileraの曲だったと思う。
物悲しいメロディと、パワフルな歌声が、どことなくAにピッタリと似合っていて、よく覚えていた。
隅に座っていたAのマネージャーさんが、ふわりと微笑んで、スタジオを後にするのにも気付かずに、一心不乱に踊り続ける。
柔軟性を活かした踊りに、惹きつけられる。
いつから、こんなに大人になったんだろう。
自分もデビューして、同じステージに立つ機会も、昔みたいに一緒に踊る機会も増えてきたというのに、いつだって彼女は俺の何歩も先を生きていて。
そのまま、どこかへ消えてしまいそうな気だってしてた。
樹「…Aっ!」
盛り上がっていた曲が、フッと静かになった瞬間、床に倒れていくAが視界に入り、慌てて駆け寄って、抱きとめる。
『…い、っちゃ…?』
静かなピアノの音が流れる中、目が合って。
俺を、見てくれている。
樹「…行かないで…」
『…え…?』
樹「…俺を置いてかないで…」
キツく抱きしめながら、縋るように言った俺は、だいぶカッコ悪かったと思う。
だけど。
『…行かない。樹のそばに…ずっといる。』
あまりにも優しい声で。
甘い香りを漂わせながら。
優しく、頭を引き寄せて、撫でてくれるから。
樹「…離れたくない…」
つい、甘えるように言えば、彼女も涙ぐみながら話す。
『…許してくれるの…?』
樹「…許すも何も…」
『…樹じゃない人に…身体…』
その先を聞きたくなくて、Aの唇に噛み付いた。
少しずつ後退るAを口付けながら追いかけていけば、壁にぶつかるわけで。
樹「…最後が俺なら、なんでもいい…」
Aの頬を溢れた涙と共に、2人で落ちていく。
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usa(プロフ) - 突然のコメント、失礼いたします。つい先日この作品に辿り着き、とってもハマって何度も読み返しています!続きのパスワードについて、私も教えていただきたいです!引き続き、更新を心待ちにしております! (2020年10月11日 23時) (レス) id: a03a04a4f7 (このIDを非表示/違反報告)
sui(プロフ) - 初めまして、コメント失礼します。ずっとこの作品が好きで、何度も見返しています。続きの2のパスワードは教えてもらえないでしょうか…? (2020年10月6日 11時) (レス) id: 2efd24e246 (このIDを非表示/違反報告)
冬 - はじめまして(*^^*) いきなりすみません...。 物語読んでいて思ったのですが...。 メンバーさんそれぞれの台詞の時行間隔あけて はどうでしょうか? 行間隔が詰まっていると読みにくいので...。 (2020年5月1日 16時) (レス) id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
にゃんちゅう(プロフ) - ゆんさん» もう、リアルいっちゃん見るたびに早くイチャイチャさせたくて仕方なくなります(笑)あのビジュアルで、お前しか考えられないとか言われたら…もうぶっ倒れもんですよね…! (2019年9月4日 2時) (レス) id: 8820865f3c (このIDを非表示/違反報告)
にゃんちゅう(プロフ) - みなさん» 絶賛作成中です!ひと段落ついたらパス外しますので、しばらくお待ち下さい! (2019年9月4日 2時) (レス) id: 8820865f3c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:にゃんちゅう | 作成日時:2019年6月10日 0時