HiGH&LOW THE MOVIE

始まりの事件 ページ2

.



ここ最近の街の様子には、どこか違和感を感じていた。

それは、あの日、あいつが、この街から消えた日に始まっていた。

ITOKANには大きな石が投げ入れられて窓を割られたり、俺らは突然車に轢かれそうになったり。

この日も、無名街の方向で起こった大きな爆発音とともに、黒い、大きなトラックが山王街に突っ込んできて。
その中から、たくさんの男たちが流れ出し、この山王街を荒らしていく。

色んな物を破壊していく中で、どうやら女を狙っているらしいそいつらは、ナオミに歩み寄り、ニヤリと笑って、ナオミの腕を掴んだ。


「やめてっ…！離せよ！！」


バイクのエンジン音を響かせて、その場に近寄れば、あの日を境に、少しも笑わなくなったコブラが、不機嫌そうに言葉を発した。


「…ぶっ殺されてぇのか、てめぇら。」


それは、この街を荒らし、今まさにナオミを連れ去ろうとしている“こいつら”に向けて発したものなのか。

あいつを連れて行ったかもしれない“こいつら”に向けて発したものなのか。


その痛みの先にあるものは何だ。


俺たちは、何のために
その拳を振りかざしていたのか。



サイレンが鳴り響き、無名街の方向から立ち上がる炎を見つめながらも、ピクリとも動かないコブラの表情から、その真意を読み取ることは、できなかった。

Why…？→←残された者

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す