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ITOKANの前で対峙する鬼邪高の面々と、ヤマトたち。
チハルとナオミ、Aは裏口から店を出て、少し離れた場所からヤマトたちを見守っていた。
「この間はうちの連中が世話になったみたいだな。…チハルって奴、ここにいるだろ。」
「だったらどうした。」
至近距離で、互いに目を逸らさずに話す2人。
苛立っているのか、鬼邪高の番長・村山の指先が微かに揺れているのが、遠くからも分かる。
「…確かに、チハルは俺が預かってる。」
「じゃあ早く出せよ。」
「…お前らに返すつもりはねぇ。」
ヤマトの一言に鬼邪高の奴らがざわめき立つ。
村山は呆れたように笑い、ヤマトから離れて小さく手を叩いた後、言葉を続けた。
「山王連合会は鬼邪高の問題にあや付けた…そう取っていいんだな?」
「いや、この件は、山王とは関係ねぇ。…俺だけの問題だ。」
小競り合う周囲には目もくれず、村山だけをひたすらに見て歩み寄り、ヤマトはそう伝えた。
「おいおい…友情ごっこ見に来たわけじゃねぇんだよ。じゃ、お前山王抜けんのかよ?」
「やるなら俺だけにしろ。」
強い言葉で言い切り、ヤマトが顎で帰るように促すと、村山はため息を1つついて帰っていった。
「…また来るわ。」
他の連中は納得いかない様子であったが、村山に促され、後に続いていった。
「村山さん!本当に良かったんですか…」
「あぁ…やっぱ、コブラもいねぇとな。」
ニヤリと笑って、村山はそう呟いた。
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作者名:にゃんちゅう | 作成日時:2016年10月19日 7時