簓お兄ちゃん

二十四話 ページ25

一郎に連絡しとかなあかんな…

ごめんなA、1時間だけやからいい子で待ってるんやで…。

そう、さっきまで思ってたのに。

「簓〜せっかくだしカラオケ行くか！」

「はぁ…ほんまなんなんコイツ…」

最悪や………
このどアホのせいで俺の計画丸潰れや。
一郎は今夜もAを泊まらせてもええ言っとったけど…。

はぁ………。
こんな時間にAを迎えに行っても迷惑やし。
明日…迎えに行くか。

何もかも全部コイツのせいや！

そもそもなんで俺がこんな目に合っているのかと言うと…ことの発端は数時間前。
俺は池袋駅で昔の知り合いに出会ってしまった。
名前は、嶺緒(れお)
俺より3つ上のそいつは昔から暑苦しくて図体も声もでかい奴で…

なんちゅうか、体育会系？に近い。
悪い奴じゃないんやけど、人の話をろくにきかん面倒くさいタイプ。
のくせに、何故か女にモテる。

「簓、お前大阪に帰ったんじゃなかったのか？今日はどうした観光か？ロケか？久しぶりに再会した事だしこれから飲みに行こうぜ！」

「いや…ちょっと用事があってな。」

本当なら此処でおさらばするはずやったのに。

「そんな冷たい事言うなよ〜1時間だけでも付き合ってくれ！…そうだ、Aちゃんは元気か？簓の一番のお気に入り」

「お前…なんでAの事知って…」

コイツの口から出てきたのは何故か一度も話した事のないAの名前だった。

「そんな怖い顔すんなよ、それよりどうだ？
飲み行こうぜ！この辺りで旨い角煮のある店知ってるんだ！」

「…1時間だけやぞ？」

「よしっ！行くぜー！」

「昔から声でかいねんお前！」

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