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五話 ページ6

「ほら、A一緒に寝るで」

「まだ眠くないよ…」

「あかんあかん」

眠くない、と言いながらその声は明らかに眠そうで。

「簓お兄ちゃん、Aが寝るまで隣にいてくれる?」

「おるおる、いつもおるやろ?」

「何処にも行かない?」

「行かん行かん、ずっとAの側にいたるからな」

Aの頭を撫でるとAは安心したように笑い俺の腰に手を回し抱き付いてきた。

ほんま、Aはかわええなぁ。

「愛してるで、A」

そうや、出会った時からずっと俺はAをこんなに愛しとる。

でも、、、

Aの心の何処かに昔一緒に暮らしていた兄の存在があるやな。

ずっとAに尽くしてきたのに、一体何が足りないんや?
どうやったらAの中から兄の存在を消せるんや?
俺の何がダメなんや?

「簓お兄ちゃん…」

「ん?どなんした?」

「お話ししながらとんとんして…」

「おう、ええよ。」

お腹辺りを優しく叩きながら「何の話が聞きたいんや?」と聞くと「王様と家来のお話がいい」と言ってきた。

「…?知らんなぁ、そんな話…」

「お兄ちゃんが昔よく聞かせてくれたの、…あ、…ふふ、お兄ちゃんの作り話だったんだ…」

何やろう…盧笙の家に泊まってから少しずつ
Aが兄の話をするようになった気がする。

こんな事、今まではそんなに無かったのに…。

あったとしても、俺の前では兄貴の話はしないよう
言い聞かせてたからAも俺に従って話さないように心掛けていたと思う。


それなのに…。

「……なぁ、A」

「なーに?」

「明日は、簓お兄ちゃん久しぶりに休みやからずっと一緒におれるで。A、明日は簓お兄ちゃんとゆっくりしような、Aが食べたい料理作ってやるからな、一緒に公園で遊ぶのもええなぁ、Aお前は何したい?」

「……お兄ちゃんに会いたい」

は?

…俺より兄貴の方がいいんか?

そんな訳ないよな?

「うぅ…簓お兄ちゃん苦しい…」

俺の胸の中で苦しそうにもがくA。

俺の天使、俺だけの天使。

こんなに可愛い子を手放したのは向こうや。

「A、、、A、、、」

「簓お兄ちゃん?」

「悲しい…A……」

なんで俺がこんな思いせなあかんのや。

もうどうしたらええか分からんくなってきた。

「簓お兄ちゃん泣いてるの?」

ふんわりと俺の頭を優しく撫でる手。

「どっか痛いの?大丈夫??お薬いる?」

あぁ…愛おしい。

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雪乃(プロフ) - 続き待ってます (10月8日 23時) (レス) @page40 id: 3057047a96 (このIDを非表示/違反報告)
うさこ(プロフ) - 讃良さん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!コロナに負けずお互い頑張りましょう!!これからもよろしくお願いします! (2020年8月4日 1時) (レス) id: 2f0ef64b32 (このIDを非表示/違反報告)
讃良 - とても面白く、ずっと頬の筋肉が緩みっぱなしでした。続きをお待ちしております!体にだけは気をつけて…! (2020年8月2日 11時) (レス) id: 0970343196 (このIDを非表示/違反報告)
うさこ(プロフ) - ワロタwwさん» コメントありがとございます!のれからもよろしくお願いします!! (2020年7月21日 21時) (レス) id: 2f0ef64b32 (このIDを非表示/違反報告)
ワロタww - すごい展開にコメしたくて仕方なくなってしまったwwww初コメここに通ります。面白くて好きです(^-^) (2020年7月12日 22時) (レス) id: 1c977d7f9f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:うさこ | 作者ホームページ:http  
作成日時:2020年5月6日 22時

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