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ゆけむり漂う風呂場でAはぼんやりと1日を振り返っていた。毎日のルーティンと化しているこれを湯船の中で行っていたらのぼせそうになり早々に風呂を上がることにする。


頭に浮かぶのはやはり昼のことと部活前のこと。今も制服のポケットに入ったままの付箋を思い返すとなんとも言えない気持ちになる。彼女は幸村に好かれることなど何もしていないと思っていた。


実際、直接関わる時間と言えば委員会での活動時だけだ。部活は違う、クラスも3年間違う、ただ一度だけ学校外で見かけたことがある…最後のはあまり思い出したくない記憶だが、ほんとうにそれくらいの関係だった。



「……幸村くん、確かC組だっけ」



なぜ幸村が自分を好きになったのか彼女の中でそれはかなり大事だが、それよりも大事なことがあると我に返り急いで髪の毛を乾かし台所に立つ。


明日の昼食である弁当を自身のものと父のもの、二つ用意しながら今度は幸村への返事をどうしようかと悶々と考え始めた。とりあえず付き合ってみる、と言う女子を見たことあるが正直それはあまりやりたくない。


Aは幸村をよく知らない。友人かと聞かれれば違うと答えるだろうし、答えるにしても同級生か同じ委員会なだけと答える。そんな人とお付き合いが出来るかと言われれば無理な話だ、苦痛に感じてしまう。となると返事はもう決まりきっていた。


明日もきっと顔を合わせる、その時に返事をしてしまいたい。2人きりになれるかは分からないため、Aは手紙を書くことに決めた。シンプルな文面で、簡潔に済ませてしまおう、と。



それで済まないことを、今の彼女が知る由もないわけだが。

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かな(プロフ) - とても面白かったです!!ありがとうございます‼︎ (2023年3月2日 11時) (レス) id: a32747b1ee (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:きりふき | 作成日時:2022年1月28日 12時

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