004 沖田side ページ6
……みつば姉も、きっと本気で言った訳ではないのだろう。ほんの少しのイタズラ心からかもしれないし、もしかしたら、この時から俺がまだ幼い胸のうちに抱えた、小さな感情に気づいていたのかもしれない。からかうような、そんな心持ちでそんなことを口にしたのかもしれない。けれど、この時みつば姉がそうAに言ってしまったおかげで。
「分かった!じゃあ、大きくなったらそーごのお嫁さんになるーっ!」
「…ぇ、」
………俺は、俺自身が心の何処かに抱えていた、淡い恋情を認識せざるを得なくなったのだ。
「な、何勝手なこと言ってんだよお前……」
「だって、そしたらずーっとみつば姉と一緒に居られるんでしょ?」
ニッ、と屈託のない笑顔を向けるAに、俺は言葉が喉に詰まったかのように何も言えなくなる。「だから、そーごのお嫁さんになるの!」と、また同じことを繰り返し口にした。それを宣言するように、小さな胸を張って。
「ふふ、そうしたら、Aちゃんは私の妹になるわね」
「妹!?」
みつば姉の妹になれるの!?と。嬉しそうに頬を桃色に染めてAはみつば姉に身をのりだしながらに問い掛けた。それにみつば姉は優しく笑いかけ、そうよ、と頷いて見せた。なんだか俺が戸惑っているうちに話が進んでいき、みつば姉の肯定を聞いてAは「そーご!」と、今度は俺に身をのりだした。
うわ、なんて声を漏らしながらに俺は少しのけぞったが、Aはそんなことに構いはせずに言った。
「大きくなったらけっこんね!やくそく!」
……まだ言葉の意味をちゃんと理解していないだろうソイツは、そう言うなり俺の手を取り、強制的にゆびきりげんまんをしたのだ。
「いやそんなんしねーし!!」
*
………なんてことが俺達にはあった。まだ細かいことなんて気にも留めない、そんな時期。けれど俺の中にはあれからずっと、そんなAのふざけているとしか言い様のない言葉が残っていた。それを今でも、引きずり続けているのだ。
………拗ねた顔も、怒った顔も、笑った顔も、あの頃から何も変わらない。コイツはアレから成長しているのか、疑いたくなる時もあるけれど、それでも俺は、そんな飾らないコイツが、どうしようもなく、昔から好きなのだ。
…なのに。
「総悟なんかもう知らないんだから!私銀八先生のお嫁さんになるー!」
……今となってはそんなことをほざきやがる。
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あるの(プロフ) - 銀魂LOVE♪の神紫ダヨさん» コメントありがとうございます!そして返信遅れてしまいすみません!そうですよね、高杉さんはとても魅力的でカッコいいですからね!神威も沖田さんも迷ってしまいますよね(笑)今後の展開も見守ってくださると嬉しいです! (2018年4月23日 20時) (レス) id: 59996c7325 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - インクさん» 返信遅れてしまいごめんなさい!沖田さんにとってはとても美味しいことになりましたね、はい、アニメ銀魂はいつ見ても面白いです…!!!すみません、初の合作ということで至らない点もあるかと思いますが、精一杯頑張っていきますのでよろしくお願いします(*^^*) (2018年4月23日 16時) (レス) id: f6c7f9fb7e (このIDを非表示/違反報告)
インク(プロフ) - …どうしよう、話がわからない…。 (2018年4月22日 22時) (レス) id: 2fb63eb0d6 (このIDを非表示/違反報告)
銀魂LOVE♪の神紫ダヨ - あぁいつ見ても晋助様はス・テ・キ♪あっ神威もステキ!かっこいい!(キスなら晋助様と、神威がいい..カナ!? (2018年4月6日 22時) (レス) id: 85fc3d6f11 (このIDを非表示/違反報告)
インク(プロフ) - 沖田の発言が裏目に...いや、沖田にとっては万々歳か...とりあえずアニメ銀魂見直したら面白かったんでまた見てきます (2018年4月6日 19時) (レス) id: 2fb63eb0d6 (このIDを非表示/違反報告)
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