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038 沖田side ページ40

「あ、あのさ、よく分かんないけど落ち着こうよ……」


…ね?と。Aは俺と高杉の野郎を交互に見据えながらにそう口にした。俺達の不毛とも言えるだろう言い合いを仲裁するように。俺の腕の中でなんとか抜け出せないものかと身体を捩り、それでも上手いこと抜け出せなくて溜め息のような小さな吐息を漏らしている。が、そんなことには構いもせずに俺はAを抱き締める腕の力を少しだけ強めた。痛くならないように気を付けながら。Aをこうして抱き締めるのは、思えば初めてのことで、どの程度の力で触れればいいのか、イマイチ分からない。

けれど、俺は思う。この気不味い雰囲気にはそぐわない、場違いなことを。


(……コイツ、こんなにやらけーんだな)


…俺よりも小柄で、冬用のセーラー服越しでも分かる柔らかな感覚に、理性がグラリと傾きそうになる。それをなんとか堪えて。そんな俺の胸中など知りもしないのだろうAは続ける。戸惑いを滲ませた声で。


「総悟も、ダメだよ身長とかいじっちゃ。大丈夫だよまだ伸びるからきっと」

「きっとってなんだよ」


高杉からの珍しい突っ込みを無視して、「それに、」と続ける。


「…さっきから総悟が何言ってるのか、全然分かんないよ」


…不安げに、Aはそう口にした。まるで、大切なものをギュッとその小さな手のひらに握っていて、それを失ってしまうのではないかと怯えているような声だった。なくしたくないのだと、震えているようだった。実際に震えたわけではないけれど、俺の耳にはそういう風に聞こえたのだ。

…俺にだって、なくしたくないものはある。
…この心地よくて、けれど満足はできない曖昧な関係。


「…なら、教えてやろーか」


…幼馴染という関係で、腐れ縁という関係で、俺達は繋がっていた。それが崩れて、もしも修復出来ないくらいに壊れてしまったとしたら。そう考えると俺だって怖いけれど。それでも、

…幼馴染ってだけじゃ、腐れ縁ってだけじゃ、ワガママな俺は物足りねェんだ。


俺はAの耳元に口を寄せて、内緒話をするみたいに呟いた。


「お前が、誰のもんになるかっつー話」

「……私?」


自身を指差して、やっぱりよくわからないと言いたげに首をかしげたA。そんな仕草に小さく笑みを浮かべて。


「ま、まだ知らなくてもいいことでィ」

「ククク……そうだなァ」

「…そうなの?」


だから、もう。
我慢すんのはやめにさせて貰おうじゃねェか。

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設定タグ:銀魂 , 沖田総悟 , 坂田銀時   
作品ジャンル:アニメ
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あるの(プロフ) - 銀魂LOVE♪の神紫ダヨさん» コメントありがとうございます!そして返信遅れてしまいすみません!そうですよね、高杉さんはとても魅力的でカッコいいですからね!神威も沖田さんも迷ってしまいますよね(笑)今後の展開も見守ってくださると嬉しいです! (2018年4月23日 20時) (レス) id: 59996c7325 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - インクさん» 返信遅れてしまいごめんなさい!沖田さんにとってはとても美味しいことになりましたね、はい、アニメ銀魂はいつ見ても面白いです…!!!すみません、初の合作ということで至らない点もあるかと思いますが、精一杯頑張っていきますのでよろしくお願いします(*^^*) (2018年4月23日 16時) (レス) id: f6c7f9fb7e (このIDを非表示/違反報告)
インク(プロフ) - …どうしよう、話がわからない…。 (2018年4月22日 22時) (レス) id: 2fb63eb0d6 (このIDを非表示/違反報告)
銀魂LOVE♪の神紫ダヨ - あぁいつ見ても晋助様はス・テ・キ♪あっ神威もステキ!かっこいい!(キスなら晋助様と、神威がいい..カナ!? (2018年4月6日 22時) (レス) id: 85fc3d6f11 (このIDを非表示/違反報告)
インク(プロフ) - 沖田の発言が裏目に...いや、沖田にとっては万々歳か...とりあえずアニメ銀魂見直したら面白かったんでまた見てきます (2018年4月6日 19時) (レス) id: 2fb63eb0d6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あるの&ピピコ x他1人 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2018年1月7日 12時

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