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「あの二人って最近仲いいよね」
「もしかして付き合ってたり?」

ふと、そんな声が耳に滑り込んできた。
俺は反射的にガバッと跳ね起き、無意識のうちにその会話に耳を傾ける。確かに最近よく二人で話しているのを見掛けるし、付け加えて俺と口を利かなくなってから殊更に、だ。しかも停学を食らっていたとの事らしい高杉晋助は、何故ああもAのことを見知った素振りを見せるのか……。謎は深まるばかりである。

そんなどうしようもないことを考えていると、その声の主たちは急に俺に言葉を向けてきた。

「ねぇ、沖田くんは何か知らない?」

「幼馴染なんでしょ?」

──幼馴染なんだから、俺の方が彼奴のことを知っている筈なのに。何故、あの男が。

その一言が、煮え滾ったマグマのようにどろどろと溢れ出す感情を呼び起こし胸を熱くさせる。例えようのない感覚が芽生え、早く急げと警鐘をならす。心拍数を上昇させる。怒りの混じった焦燥を堪えながら、掛けられた問いを無視した俺は誰へともなく一言だけ発した。
そして、無我夢中で屋上へと走り出す。

「……彼奴は俺のでィ」

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「──栗毛のガキは誘わなくてよかったのかって訊いてンだよ」

「……え?」

屋上にて。高杉くんの言葉に、私は虚を突かれたように動揺していた。あの日以来、目が合う度に繰り返し甦ってくる羞恥に似た感覚を誤魔化すべく総悟と距離を置いていたものの、たったその一言によって努力は脆く砕け散った。総悟のことが嫌いなわけではない。ただ、意識してしまったのだ。

゛幼馴染゛としてではなく、゛異性゛として。

「べ、別に。ていうか高杉くんこそいいの?また子さん、だっけ?廊下で待ってたよ?」

話題を早急に転換すれば、高杉くんは一瞬その鋭い鷹のような眼光を一際光らせた。しかしすぐに平然として、戯けて見せる。恐らく、その事については言及しないらしい。その代わりに、胸の内を抉る言葉を連射してきた。

「……お前ェはあの栗毛が好きなンだな」

「ちちちっ、違うってば!そんなんじゃないから!」

「ほォ。じゃあ、好きじゃねェって誓えるのか?」

「も、もちろん!……総悟は、ただの幼馴染なんだから」

一瞬口籠るも、きっぱりと言い捨てる。
すると、高杉くんは食べかけていた焼きそばパンをそっと膝に置き、身を乗り出し、耳許でそっと囁いた。

「違ェってンなら、俺がお前を奪っても彼奴が怒る義理はねェよな」


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設定タグ:銀魂 , 沖田総悟 , 坂田銀時   
作品ジャンル:アニメ
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あるの(プロフ) - 銀魂LOVE♪の神紫ダヨさん» コメントありがとうございます!そして返信遅れてしまいすみません!そうですよね、高杉さんはとても魅力的でカッコいいですからね!神威も沖田さんも迷ってしまいますよね(笑)今後の展開も見守ってくださると嬉しいです! (2018年4月23日 20時) (レス) id: 59996c7325 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - インクさん» 返信遅れてしまいごめんなさい!沖田さんにとってはとても美味しいことになりましたね、はい、アニメ銀魂はいつ見ても面白いです…!!!すみません、初の合作ということで至らない点もあるかと思いますが、精一杯頑張っていきますのでよろしくお願いします(*^^*) (2018年4月23日 16時) (レス) id: f6c7f9fb7e (このIDを非表示/違反報告)
インク(プロフ) - …どうしよう、話がわからない…。 (2018年4月22日 22時) (レス) id: 2fb63eb0d6 (このIDを非表示/違反報告)
銀魂LOVE♪の神紫ダヨ - あぁいつ見ても晋助様はス・テ・キ♪あっ神威もステキ!かっこいい!(キスなら晋助様と、神威がいい..カナ!? (2018年4月6日 22時) (レス) id: 85fc3d6f11 (このIDを非表示/違反報告)
インク(プロフ) - 沖田の発言が裏目に...いや、沖田にとっては万々歳か...とりあえずアニメ銀魂見直したら面白かったんでまた見てきます (2018年4月6日 19時) (レス) id: 2fb63eb0d6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あるの&ピピコ x他1人 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2018年1月7日 12時

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