検索窓
今日:13 hit、昨日:0 hit、合計:28,352 hit

034 沖田side ページ36

.


「てなワケでオメーら、やる気入れていっちょやるぞ!!」

「「「「「おぉー!!」」」」」

クラスが一致団結し雄叫びのような叫びをあげる中、俺は先程から微動だとしないAを見て怪訝に思っていた。普段ならばこんな青春臭いイベントに我先にと飛び付き茶々を入れる癖に、今日はやけに静かなのだ。

ついでに言えば、今朝から……いや、数日前からずっとこんな調子なのだ。しかし、いくら頭を捻っても理由は解せない。声を掛けてみるも当の本人は上の空で話になりゃしなかった。

そろそろ俺のハリボテなメンタルも限界を迎えかけたので、気だるげな号令には耳を傾けずボイコットのように机に突っ伏したまま聞き流す。薄ぼんやりとした感情に浸っていた。Sとは実に打たれ弱い生き物である。

「総一郎くんも大変だねぇ。好きな女の子に理由も判らず無視されるなんて」

ふと隣から声を掛けられる。
それはつい先程まで教壇に立ち青春とは何ぞよと謎の教えを説いていた担任教師の声であり、それには若干の憐憫さえ籠っていた。慰めるようなその言葉に、思わず本音を溢す。

「そーなんでィ、彼奴なんで無視しやがるンだか解りゃ……しねェ……?」

途中で、俺はふと語気を弱めピタリと動きを止める。途端、銀髪の天パはニヤリと厭らしく笑みを浮かべた。それはまるで、心の中を見透かされているように。事情は知ってるぞと言いたげに。

「あっれあれー、あっさり認めやがったなこの野郎」

「っ、違ェとは否定しやせん。だが、彼奴にだけは言わないで下せェよ。いずれ俺の口から伝えてやらァ」

「なに。自分で言えるってか?今時のガキンチョはホント勇気あるねェ。ま、そんな苦い経験を積んでこその大人ってもんか」

謎の青春論を述べたその人は「よっこらしょ」と見た目に反して老人じみた掛け声で立ち上がる。そして、踵を返しすれ違い様に一言。

「お前がいつまでもうじうじしてると、横から掻っ攫われたりするかもしれねェぜ?例えば、俺とかに……な」

冗談めかして笑い、スタスタと通り過ぎていく。咄嗟に振り返るも、そこにはすでに居らず、逃げ足の早ェこったと呟けばふとAが此方に振り返った。一瞬、視線がぶつかり合う……も、直ぐ様逸らしたのはAの方で。

「高杉くーん、お昼一緒に食べよー」

「ったく、しゃーねェなァ」

「やったー!ほら、早く早く!」

──前までは、そこには俺が居たのに。

そんな俺の行き場のない呟きは、胸の内で虚しく響いた。


.

035→←033



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (64 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
83人がお気に入り
設定タグ:銀魂 , 沖田総悟 , 坂田銀時   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

あるの(プロフ) - 銀魂LOVE♪の神紫ダヨさん» コメントありがとうございます!そして返信遅れてしまいすみません!そうですよね、高杉さんはとても魅力的でカッコいいですからね!神威も沖田さんも迷ってしまいますよね(笑)今後の展開も見守ってくださると嬉しいです! (2018年4月23日 20時) (レス) id: 59996c7325 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - インクさん» 返信遅れてしまいごめんなさい!沖田さんにとってはとても美味しいことになりましたね、はい、アニメ銀魂はいつ見ても面白いです…!!!すみません、初の合作ということで至らない点もあるかと思いますが、精一杯頑張っていきますのでよろしくお願いします(*^^*) (2018年4月23日 16時) (レス) id: f6c7f9fb7e (このIDを非表示/違反報告)
インク(プロフ) - …どうしよう、話がわからない…。 (2018年4月22日 22時) (レス) id: 2fb63eb0d6 (このIDを非表示/違反報告)
銀魂LOVE♪の神紫ダヨ - あぁいつ見ても晋助様はス・テ・キ♪あっ神威もステキ!かっこいい!(キスなら晋助様と、神威がいい..カナ!? (2018年4月6日 22時) (レス) id: 85fc3d6f11 (このIDを非表示/違反報告)
インク(プロフ) - 沖田の発言が裏目に...いや、沖田にとっては万々歳か...とりあえずアニメ銀魂見直したら面白かったんでまた見てきます (2018年4月6日 19時) (レス) id: 2fb63eb0d6 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:あるの&ピピコ x他1人 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2018年1月7日 12時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。