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「なななっ、何でそれを……!」
ニヤリ、と高杉くんが唇を愉悦の形に歪ませる。言葉を暫し失い、まるで金魚のように口をパクパクとさせていれば彼はフッと鼻で笑って。恐らく、通常の至って普通な女子高校生ならばここは赤面する場面なのだろう。
因みに補足であるが、今彼が此れ見がよしに見せ付けてきた写真は、以前、総悟の奢りで巷で噂のラーメン屋に昼飯を食べに行ったときのものである。ところで、オレンジ色の髪のこの人は誰だったっけ……?と首を傾げてみれば、即座に脳裏に蘇ったそのシルエット。
『替玉無料!』なんて太っ腹な決め文句を掲げていたそこの店の店主が、頼むからもう帰ってくれ、大赤字になるかと泣き縋るあたりで追想が途切れる。勿論、耳を塞いで食べ続けたところも含めて。そのオレンジ髪の男の子──恐らく高校生ぐらいと推測されるその人──は、私に張り合うように大量のラーメンを平らげていた。それはまるで勝負の如く。決死を争うように。
そしてそんな末、妙に昂ったテンションで写真を撮ったような……と言うか撮ったのである。赤の他人と。全く見知らぬその人と。
再び食い入るように高杉くんの携帯の画面を凝視していれば、ややあって低く酷薄な声が。だがしかし、面白い奴だな、とでも言いたげなニュアンスを含んだ声音であった。
「……お前ェ、神威と張り合うぐらいの食いっぷりだったンだってな。彼奴が言ってたぜ、面白ェ女がいるって」
「ねぇ高杉くん、もしかしてその人って、」
そのオレンジと瑠璃のような青色の色和えに、ふと私は口を開けた。泡沫の疑問が、靄となって胸につっかえる。何処かで見たことのあるその色。そしてニッと悪戯っ子のような笑み。常日頃、気が付いたら視界に入っている……と言うか身近な人物で……。
口ごもるも上手く言葉では表せず、低く唸っていた……その時だった。
「それって、もしかして俺のこと?」
ふわりとカーテンが靡く。目を思わず瞬き、唖然とした。つい先程まで閉ざされていた筈の窓枠に両足を付き、特攻服のような学ランを身に纏ったその男の子。逆光故顔が影となりハッキリとは見えないが、丁寧に結われた三つ編みに見覚えがある。痛々しいなぁ、なんて失礼な初発感想は口が裂けても言えやしないが。
「やっ、久しぶりだね、シンスケ」
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あるの(プロフ) - 銀魂LOVE♪の神紫ダヨさん» コメントありがとうございます!そして返信遅れてしまいすみません!そうですよね、高杉さんはとても魅力的でカッコいいですからね!神威も沖田さんも迷ってしまいますよね(笑)今後の展開も見守ってくださると嬉しいです! (2018年4月23日 20時) (レス) id: 59996c7325 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - インクさん» 返信遅れてしまいごめんなさい!沖田さんにとってはとても美味しいことになりましたね、はい、アニメ銀魂はいつ見ても面白いです…!!!すみません、初の合作ということで至らない点もあるかと思いますが、精一杯頑張っていきますのでよろしくお願いします(*^^*) (2018年4月23日 16時) (レス) id: f6c7f9fb7e (このIDを非表示/違反報告)
インク(プロフ) - …どうしよう、話がわからない…。 (2018年4月22日 22時) (レス) id: 2fb63eb0d6 (このIDを非表示/違反報告)
銀魂LOVE♪の神紫ダヨ - あぁいつ見ても晋助様はス・テ・キ♪あっ神威もステキ!かっこいい!(キスなら晋助様と、神威がいい..カナ!? (2018年4月6日 22時) (レス) id: 85fc3d6f11 (このIDを非表示/違反報告)
インク(プロフ) - 沖田の発言が裏目に...いや、沖田にとっては万々歳か...とりあえずアニメ銀魂見直したら面白かったんでまた見てきます (2018年4月6日 19時) (レス) id: 2fb63eb0d6 (このIDを非表示/違反報告)
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