015 沖田side ページ17
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「ねぇ、部屋から出てもらわないと着替えれないんだけど……?」
「俺は構わねェから。早くしろィ」
パジャマ姿のAの戸惑うような問いに、俺は迷うことなく即答する。昔から何一つ変わらないその部屋には、仄かに甘い柔軟剤の香りが漂っていた。
何故か安堵の息を吐いた俺は、ぐるりと部屋を見渡した後Aに視線を落とす。
「いや、私が困るんだよ!私女の子だよ?!」
昔は一緒に風呂に入ったり一つの布団で寝たりと、そんな恥じらいはなかった筈なのに。時間の流れを少しだけ恨みがましく感じていれば、Aは睨むような、怒ったような目で腕を組んでいた。
思わず早く着替えろよと言いたくなったが、俺はふと口を噤んだ。それはまさに、美しい何かに見蕩れるのと全くを以て同じ感覚。
……こいつ、こんなにも女らしかったか……?
その表情、仕草、たった今零れた溜め息……そのどれもが、時間の変遷を告げているよう。昔と変わらない色艶艶やかなミルクティー色の髪は伸びているし、顔立ちだって知らない間に大人びている。
……ただ一つ、ある一点を除いて。
「今なんか失礼なこと考えたでしょ?」
「エスパーかお前ェは」
「否定しないの?!ねぇ、せめて否定してよ!!」
昔から何の変化も見せないまな板を一瞥してから、渋々廊下に出る。ひんやりと冷たいフローリングは綺麗に磨かれており、鏡のように俺の姿を映していた。
「…………」
無言で、ただ無言で立ち尽くしていると、脳裏にチラつくのは白髪の天パ教師のこと。
……アイツは、Aのことをどれだけ知っているのだろう。俺しか知らない顔を、どれだけ見てきたのだろう。
そんな醜い感情がふつふつと沸き上がるも、どうにか今は堪えて肩を竦めた。
「────っ、……!!」
……て言うか、アイツ遅ェ……。
……仕方ないからもう部屋に突撃してやろうか?
そんなことを考えていると、爆音のような音量の声が何の脈絡もなく俺の耳に木霊した。鼓膜が破れんばかりのその大声は、間違えなくAのもの。
「無視しないでよ、総悟っ!学校行かなくていいの?」
俺の隣には、既に制服に着替え鞄を肩に掛けているAの姿が。いつの間に来たかは判らないが、ただ一つ言えるのは────
「────それ俺のセリフ!!」
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あるの(プロフ) - 銀魂LOVE♪の神紫ダヨさん» コメントありがとうございます!そして返信遅れてしまいすみません!そうですよね、高杉さんはとても魅力的でカッコいいですからね!神威も沖田さんも迷ってしまいますよね(笑)今後の展開も見守ってくださると嬉しいです! (2018年4月23日 20時) (レス) id: 59996c7325 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - インクさん» 返信遅れてしまいごめんなさい!沖田さんにとってはとても美味しいことになりましたね、はい、アニメ銀魂はいつ見ても面白いです…!!!すみません、初の合作ということで至らない点もあるかと思いますが、精一杯頑張っていきますのでよろしくお願いします(*^^*) (2018年4月23日 16時) (レス) id: f6c7f9fb7e (このIDを非表示/違反報告)
インク(プロフ) - …どうしよう、話がわからない…。 (2018年4月22日 22時) (レス) id: 2fb63eb0d6 (このIDを非表示/違反報告)
銀魂LOVE♪の神紫ダヨ - あぁいつ見ても晋助様はス・テ・キ♪あっ神威もステキ!かっこいい!(キスなら晋助様と、神威がいい..カナ!? (2018年4月6日 22時) (レス) id: 85fc3d6f11 (このIDを非表示/違反報告)
インク(プロフ) - 沖田の発言が裏目に...いや、沖田にとっては万々歳か...とりあえずアニメ銀魂見直したら面白かったんでまた見てきます (2018年4月6日 19時) (レス) id: 2fb63eb0d6 (このIDを非表示/違反報告)
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