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No.038 ページ39

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「……え?ちょ、待ってください。いいえ、でも……」


あやふやな言葉を並べ、ふと首を傾げた私は寒さで鈍っている頭をフル回転させ思考を巡らせた。怪しい。確実に怪しい……が、黒髪の男性____高杉さんの言葉からは、胡散臭さが漂ってこない。証拠もなく疑うのも良心が痛むので、取り敢えず。


「……な?いい加減疑うのをやめたらどうだ?」

「……そ、そうですね……?」


立派な設えの建物──高杉さん曰く私の職場──を眼前に、言葉を失っていた。事前に手渡されていた写真そっくりのその建物は、もう何とも言えないほど立派だった。なんて金のかけた建物なんだろう……とか、本当にここなのだろうか……とか。そんな疑問をボソボソと漏らしていると、高杉さんはふと視線を私からその右斜め後ろにずらし、


「……アイツらのお出ましだ。ちょっかい掛けられたくねェなら、早く帰るこったな」


皮肉を込めた苦々しい微笑でそう言った。釣られるように私も体ごと振り返れば、そこには2、3人ほどの人影が。各々傘をさしているものの、遠目からでも分かったのは彼らの整った顔立だった。


「……すみません高杉さん、あの人たちは……?」


が、その問いに答えたのは高杉さんではなく栗色の髪をした男の子だった。年の頃は、多分私と同じぐらいだろう。゛王子様゛と言う言葉がよく似合う容姿のその男の子は、なんの脈絡もなくずいっと顔を近付けてきた。


その距離僅か3センチほど。

何かの弾みにくっついてしまいそうな、そんな至近距離に普段人とあまり話さないどころか話す相手すらいなかった私には目を白黒させていた。


「……顔はまぁまぁ、胸は希望ゼロ……。これは期待できやせんねィ。旦那ァ、人選ミスでさァ。俺は胸のデケェ姉ちゃん連れてこいっつったろィ?」

「……は、はぁ……?」


初対面ながらムカつくことをつらつらと言ってきたその栗毛の男の子に、私は苛立ちを隠すことなく頬をひきつらせる。

……と、続け様に。


「ダメだよ?総悟。女は見た目じゃない……強さなんだ。つまり、強い子孫を残せるなら誰でも変わんないんだ」


私には振り向きもせずサーモンピンクのお下げの人はそんなことを口走り、高杉さんを見つけるや否ぱぁっと顔を輝かせ私をどんっと押し退け高杉さんの右腕にするりと巻き付いた。

そんな女子高のどろどろとした戦いにも負け劣らぬ光景に、私は思わず絶句した。


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あるの(プロフ) - ささかさん» コメントありがとうございます、ささかさん!いつまでも待っていて下さるのですか?!ありがとうございます^^はい、できるだけ早く続編を作り直しますので、それまでは暫しお待ちください! (2018年1月6日 16時) (レス) id: 26476dfb48 (このIDを非表示/違反報告)
ささか - 作者さん、色々とお疲れ様!でも私はいつまでも待ってますから!ゆっくりでいいので続編作るの頑張って下さい! (2018年1月6日 15時) (レス) id: 94a7e06d27 (このIDを非表示/違反報告)
霰@あるの(プロフ) - たらぴさん» コメントありがとうございます!はい、念願の初殿堂入りを果たすことができました…!応援までありがとうございます^^たらぴさんのお言葉には励まされるばかりです! (2017年12月24日 17時) (レス) id: 26476dfb48 (このIDを非表示/違反報告)
たらぴ - 殿堂入りおめでとうございます!これからも頑張って下さい(^^)/応援してます! (2017年12月24日 17時) (レス) id: dcfd3554f9 (このIDを非表示/違反報告)
霰@あるの(プロフ) - 高杉るなさん» 了解致しました^^ご提案ありがとうございます!高杉さんと遊園地…とても素敵なお話ですね!できるだけ早めに執筆致しますので、楽しみにお待ちいただけると嬉しいです! (2017年12月6日 7時) (レス) id: 26476dfb48 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あるの | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2017年10月15日 9時

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